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佐藤悠基が語るMGCへの決意・後編。
「単純に力があればねじ伏せられる」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2019/06/30 17:05
マラソン選手として強くなることを意識していく先に、勝利がある。佐藤悠基は強いまなざしで語っていた。
セカンドキャリアのプランは?
男子マラソン選手は37歳ぐらいまではタイムが伸びると言われている。佐藤は、まだ32歳だ。MGCを勝ち取り、東京五輪でマラソンを走ってもマラソン選手としての競技人生はしばらくはつづく。だが、いずれ選手は現役を引退することになる。
――将来、引退後は何かプランはあるのですか。
「今は、それほど考えていないですね。指導者なのか、スポーツビジネスについてなのか、引退した時に、どんな需要があるのか分からないので……。ただ、指導者になるならプロの選手が増えているので、相手が指導してもらいたいと思うプロを対象とした指導者になるのもいいかなって思っています」
――母校の東海大が箱根駅伝で優勝しました。佐久長聖高校も長距離の強豪高校です。若い選手への指導は興味ありませんか。
「いやー、できないですよ(苦笑)。僕は感覚でやってきているので、そんなこともできないのって思ってしまうので向いていないですね。プロとしてトップ選手を指導するのが自分としては性に合っていると思います」
暑い中での速いペースという不安。
自分の感覚を他人に当てはめると無理が生じ、理解されないことも多い。それゆえ佐藤がプロの指導者になる場合は昔の指導者のように自分の経験だけに頼るのでなく、運動生理学などを勉強し、感覚を言語化し、自分の指導力を上げていきたいという。
ただ、その前に、やるべきことが待っている。
――MGCまで3カ月を切りました。
「夏の暑い中、速いペースで40キロを走ったことがないので、体がどう反応するのか、分からない不安はあります。でも、それはみんなも感じていることだと思うんです。MGCの勝負は後半になる。そこは間違いなくキツくなるんで、そこでどれだけ我慢して走れるか。
最後、勝負を仕掛けてペースを上げて行けるか。それを可能にするためにキツい練習している中、『今は35キロ付近だからがんばろう』とか具体的にイメージしてやっていくしかない。トレーニングからそうして意識付けしていけば必ず本番にいかせるはずです」