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佐藤悠基が語るMGCへの決意・後編。
「単純に力があればねじ伏せられる」
posted2019/06/30 17:05
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
9月15日、スタートするMGCのコースは、来年の東京五輪のマラソンコースとほぼ同じだ。違いといえば、国立競技場はまだ完成していないので、スタートとゴール地点が明治神宮外苑のイチョウ並木になるだけである。
MGCに出場する佐藤悠基は、すでにコースを下見したという。その印象などについて語ってもらった。
一番の勝負どころは38キロ地点。
――実際にコースを見た印象とポイントとなるところはどこだと感じましたか。
「東京マラソンに近いコースなので、イメージがわきやすいですね。一番の勝負どころは、38キロ地点だと思います。ダラダラとした上りが続き、しかも曲がりながら上っていく。けっこう傾斜があるのでキツいですし、そこで差がつくんじゃないかなと思いますね。
そこで勝負をかけられたら相手は嫌がるでしょう。ペースは、きっとお互いに警戒して遅くなります。ただ、こまめに上下することはないでしょう。暑いですし、後半の勝負どころでのスタミナを考えるとみんな絶対に動きたくないと思うはず。最初はスローペースで大きな集団になると思います」
――タイムよりも勝つことが大事なレースになります。
「そうですね。速いペースになっても、それに対応できるように体を作っておけば遅くなっても対応ができます。正直なところ、MGC本番に合わせるというよりも、マラソン選手として強くなることを意識していけば勝負に勝てると思うんです。単純に力があれば相手をねじ伏せられるので」
――策は必要ないということですか。そう思ったのは、何か理由があるのでしょうか?
「今年の東京マラソンが終わって、もう1回トレーニングメニューを見直した時、消極的だなって思ったんですよ(苦笑)。それよりもガンガン練習をやって相手をねじ伏せるくらいに強くなっていれば、という単純な話なのかなって。それがMGCに勝ったあとの東京五輪にもつながると思うんです。それに策を練っても力負けしたら意味がないですからね」
相手をねじ伏せるだけの力をつける――MGC、そして来年の東京五輪で勝負するための意欲を佐藤から感じる。そこには過去の五輪での悔しい経験がベースになっている。佐藤はロンドン五輪で5000mと1万mに出場した。いずれもトラック競技だが、5000mは予選1組12位、1万mは22位に終わった。