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桑田、松坂、斎藤、そして吉田輝星。
甲子園スターのプロ初登板とその後。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKyodo News

posted2019/06/13 17:30

桑田、松坂、斎藤、そして吉田輝星。甲子園スターのプロ初登板とその後。<Number Web> photograph by Kyodo News

プロ初勝利を挙げて栗山英樹監督(右)から祝福される吉田輝星。得意のストレートで広島打線を押し切った。

斎藤佑樹は1年目こそ6勝したが。

<斎藤佑樹(早稲田実→早稲田大→日本ハム)>
 2006年夏、田中将大の駒大苫小牧と延長15回引き分け再試合の末に優勝投手となる。日本全国に「ハンカチ王子ブーム」が巻き起こる。しかし甲子園での948球は記録が残る中での最多投球数である。

 早稲田大に進みエースとして活躍。2010年ドラフト1位で日本ハムに入団。初登板は2011年4月17日、札幌ドームでのロッテ戦。田中同様、開幕5戦目の先発。5回6被安打2奪三振無四球、自責点1でプロ初勝利。1回表に先頭打者の岡田幸文から空振り三振を奪っている。ワイドショーで大きく取り上げられるなど、日本中が再び沸く。

 この年は6勝するが、現時点でこれがキャリアハイ。通算15勝。最近は「復活を期したマウンド」が年中行事のようになっているが、真の復活は目にできるだろうか?

1年目で10勝の藤浪も復活なるか。

<藤浪晋太郎(大阪桐蔭→阪神)>
 2012年春夏優勝投手。1学年下の森友哉(現西武)とのバッテリーは最強コンビと言われる。同年ドラフト1位で阪神に入団。

 初登板は2013年3月31日、神宮球場でのヤクルト戦。開幕3戦目の先発。6回3被安打7奪三振4与四球、失点2自責点1と好投するも味方の援護がなく敗戦投手に。1回裏に岩村明憲から初奪三振。この年は100球前後で降板するなど大事に使われていたが、10勝を挙げた。

 翌年からランディ・メッセンジャーとならぶダブルエースとして活躍するが、2017年頃から制球が突然乱れるようになる。今季はまだ一軍で投げていない。通算50勝。

 同世代の大谷翔平に並び称される大型エースだっただけに、活躍をもう一度見たいところだ。

 最近、私は高校野球や少年野球の指導者の話を聞く機会が多いが、「去年の吉田輝星投手の例もあるので、投げすぎには気をつけている」という声が異口同音に聞こえる。甲子園での881球は斎藤佑樹以来の多さだ。酷暑の中での多投は今後のマウンドにどんな影響を与えるのか。

 5回84球1失点での初登板初勝利は素晴らしいが、本当の勝負はこれから始まるのだ。

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