リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガ八百長問題で選手が大量逮捕。
主犯は元レアルDF、なぜ悪の道に。
posted2019/06/07 11:15
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
5月28日、スペインで八百長に関する大捕り物が行なわれた。
逮捕されたのは10人。そのなかには、スペイン代表歴もある元R・マドリーのラウール・ブラボ、リーガ1部の数クラブで活躍したカルロス・アランダ、デポルティーボのイニゴ・ロペス、先日バジャドリーで現役を退いたボルハ・フェルナンデス、来季は2部で戦うウエスカのラサオサ会長とメディカルチームの責任者ガリンドの名前などがあった。
捜査のきっかけとなったのは、昨年5月27日に行なわれたウエスカ対ヒムナスティックに対する賭けだ。
当時のウエスカは1部昇格決定済みの首位で、ヒムナスティックは2部残留に必死の17位だった。となれば前者に多少の気の緩みはあるかもしれないものの、「ホームチームのウエスカ勝利」が妥当な予想だろう。
突然オンラインの賭けで大金が。
ところがキックオフの1時間半前、複数のオンラインブックメーカーで「ハーフタイム時点で同点」や「最終的にヒムナスティックが勝利」に大金が賭けられ始めた(試合は前半を0-0で折り返し、ヒムナスティックが1-0で勝利した)。
おまけに投資金の出所は普段2部の試合には見向きもしないウクライナや中国だった。
ブックメーカーから異常事態を報告されたリーガは、翌日UEFAからも連絡を受けた。データの収集・分析をもって欧州サッカー界を舞台にした不正賭博を監視している『SportSradar』社も、不自然なお金の流れを確認したというのだ。そして試合の5日後、リーガは資料をそろえて八百長が行なわれた可能性を検察庁に伝えた。
『エル・ムンド』紙が入手した捜査情報によると、八百長は次の三者によって実行されると考えられている。
買収可能な試合を見極める「オーガナイザー」。見返りの額を交渉し、支払い処理まで行なう「仲介人」。そして組織の一員ではないものの、ピッチで試合結果に影響を及ぼし対価を受け取る「選手」である。