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伊藤美誠「人生がかかっている」
東京五輪のシングルス2枠の行方は?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byItaru Chiba/AFLO
posted2019/06/01 10:00
中国オープンに出場した伊藤美誠は、1回戦で中国の王芸迪を破った。
1位平野、2位石川、伊藤は5位。
日本勢での順位は、平野が5470ポイントで1位、石川が4795ポイントで2位、加藤美優が4480ポイント、佐藤瞳が4135ポイントで続き、伊藤は4025ポイントの5位にいる。
それぞれここまでの大会出場数が違うとはいえ、単純に現在の世界ランキングを見ているのとは異なる様相が浮き彫りになる。
さらに、今後のランキング争いに影響を与えそうな要素が2つある。
1つは、出場できる大会の違いだ。大会ごとに与えられるポイントの大きさが異なるのだが、オリンピック、世界選手権に次ぐポイントを得られるワールドツアー・グランドファイナルと、今年10月のワールドカップのうち、ワールドカップに出られるのは石川と平野の2人。伊藤が出られないこの大会で好成績をおさめれば、石川と平野にとっては大きなアドバンテージになるということだ。
新設された「T2ダイヤモンド」の影響。
もう1つが、今年から新設された大会「T2ダイヤモンド」である。マレーシア、中国、シンガポールで3回に分けて開かれるこの大会は、先に記した8大会には含まれない。しかしこの大会で得たポイントは8大会の合計に付加され、いわばボーナスポイントになるだけに、出場できればランキングに大きな影響を及ぼす。
T2ダイヤモンドは7月から始まるが、出場できるかどうかは、3月に行われたカタールオープンと今回の中国オープンの成績によって決まる。
だから伊藤は、中国オープンについての意気込みに、大げさにも思える言葉をわざわざ選んだのだ。
伊藤はカタールオープンで好成績をおさめているため、順調にいけば7月のT2ダイヤモンドには出られる。それでもこのような言葉が出てきたところに、代表争いをシビアに受け止めていることがうかがえる。