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令和最初の野球早慶戦は因縁の戦い。
主将同士は4年越し、監督は31年!
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byDaiki Tanaka
posted2019/05/31 17:30
リーグ戦は明大が完全優勝を決めたが、早慶戦の熱さはまた別格だ。早大の加藤主将の話からもそれは強く感じる。
大久保、小宮山両監督の学生時代。
そして、今春の早慶戦にはもう1つのドラマが……。
「神宮のマウンドで嗚咽し、泣きながら大森(剛)さんを敬遠している……これが小宮山監督の、大学時代のイメージです」
慶大監督・大久保秀昭は、早大監督・小宮山悟への当時の印象をこう話してくれました。
そのとき大学1年生だった大久保監督はマウンドの小宮山監督の姿を見て、早慶戦の厳しさを実感しました。当時3年生だった小宮山監督は、涙の真相をこう明かします。
「当時は慶應が強かった。早慶戦では、巨人へ入団した大森剛を抑えなければ勝つことはできない状況だった。でも4年生にとっては最後の早慶戦だから、大森を打ち取って終わりたい……これが4年生の、本当の思い。
3年生だった僕は4年生の真の思いと、早慶戦は是が非でも勝たなければいけないから敬遠を選ぶという判断に挟まれて。チームの勝ちを優先して敬遠を選んだ時、『逃げるな』という声が球場内から聞こえてきて……気がつけば、悔し泣きしながら敬遠をしていた」
「気持ちで負けたらやられる」
その後、ともに早慶の主将を務め、プロ野球の世界を経験した2人が、今では学生野球に戻って指揮をふるっています。「プロ野球経験者として、アマチュア球界では絶対に失敗できない」とは、両者に共通する言葉です。そんな2人がぶつかる、令和最初の早慶戦。
「とにかくクレバー、でもそう見えて心は非常に熱く、情熱的な方。これが新たに就任した小宮山監督の印象かな。気持ちで負けたらやられる、技術を超える戦いになることは間違いない」(大久保)
「大久保は2学年下の、六大学では後輩にあたる選手。ただ、監督としては社会人で都市対抗優勝、大学で連覇と、実績を残してきた指揮官。挑みますよ。1球に全てを注ぎます」(小宮山)
4年前に始まった加藤主将と郡司主将の因縁、そして31年前から互いを知る大久保監督と小宮山監督。2つのドラマが今週末、神宮の杜で激突します。