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ダービーは上位3頭が日本人騎手!
国籍ではなく、好騎乗を讃えたい。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/05/28 17:00
ダービージョッキーにその名を連ねた浜中俊騎手。まだ30歳、ここからの躍進に期待が集まる。
浜中「これで差されたら仕方ない」
3コーナーでも上位の隊列に大きな変化はなかったが、サートゥルナーリアは少しずつ前との差を詰めていた。そして、4コーナーへ差し掛かるコーナーリングを利用するように上手に先団に進出してきたのがダノンキングリー。ヴェロックスも外へ持ち出し、先行勢を射程圏に捉える位置に上がってくると、直線入口ではその外までサートゥルナーリアが上がってきた。
直線に入るとロジャーバローズの鞍上・浜中騎手が早くも鞭を入れて追い出しを開始した。速い流れを追走しながらも、後続を待つのではなく、一気に先頭を奪いに行く手綱捌き。後に浜中騎手はこの判断について次のように語っている。
「スローペースでヨーイドンになるよりも、よどみのない流れで後続に脚を使わせて、豊富なスタミナで粘り込むという方が良い馬ですからね。これで差されたら仕方ないという気持ちで早目に追い出しました」
ラスト400mでは堂々と先頭に躍り出た。そして、このダークホースを目掛けて上がって来たのは戸崎騎手騎乗のダノンキングリーだった。
その少し後ろではサートゥルナーリアが3番手まで上がっていた。そのまま人気に応えて突き抜けるかとも思えたが、厳しい位置から道中少しずつ差を詰めるために脚を使ったのが響いたか、伸びそうで伸びない。それどころか最後は一杯になってしまい、一度は完全にかわしたヴェロックスに差し返されてしまった。
こうしてヴェロックスが3番手まで上がった時、その2馬身半ほど前では内にロジャーバローズ、外にダノンキングリーと、2頭が一足早くゴールラインを通過した。
「戸崎さんに聞いたのはやらしかったですね」
「なんとか残ったかな、と思ったけど、ダービーなので慎重になりました」
浜中騎手はそう言い、ゴール板を過ぎた後、戸崎騎手に確かめたのだと続けた。
「戸崎さんに聞いたら『残っている』と。戸崎さんに聞いたのはやらしかったですね」
そう言って笑う浜中騎手だが、掲示板の1着の欄に自らの番号である1番が上がっているのを見るまでは半信半疑だった、いや、レースを終えて勝ち名乗りを受けてからもしばらくの間は実感が湧かず、フワフワした気分だったという。