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ダービーは上位3頭が日本人騎手!
国籍ではなく、好騎乗を讃えたい。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/05/28 17:00
ダービージョッキーにその名を連ねた浜中俊騎手。まだ30歳、ここからの躍進に期待が集まる。
「どこかにまだ他の馬が……」
ちなみにゴールした直後、顔を思い切り内側へ向けたかと思うと、次の瞬間には外側へ向ける新ダービージョッキーの姿がヴィジョンに映し出されていた。何を見て、何を確かめようとしていたのか? その行動の真意を聞くと、浜中騎手は笑いながら次のように答えた。
「勝ったのが信じられなくて、どこかにまだ他の馬がいるんじゃないか? と思って……」
他の馬を確認するにしては有り得ない方角に顔を向けたあたりに、夢心地だったであろう彼の胸の内が見えた気がした。
上位3頭の騎手がすべて日本人。
それにしても度胸満点の手綱捌きだった。サートゥルナーリアの追撃を恐れず、自らのパートナーの持ち味を最大限に生かす競馬をした。この日の馬場の特性を多分に生かす走りではあったが、どさくさ紛れではなく自分で取りに行く形で、栄冠を手にした。ダービージョッキーの称号を掌中に収めた。そう言える立派な騎乗だった。
そして、それは2、3着の戸崎騎手や川田騎手にも同様の事が言えるのではないだろうか。
浜中騎手同様、背中に1番人気馬の脅威を感じていたとは思えない競馬ぶりで、差のない2着を確保した戸崎騎手。サートゥルナーリアに一度は完全に差される形から、差し返して3着した川田騎手。彼等の手綱捌きの下、令和最初のダービーは、上位3頭全てが日本人騎手にエスコートされた馬となった。
ひと昔前と違い、馬も人も国境を飛び越えた交流が盛んになった。とくに日本の高い賞金を求めて海を越える騎手は枚挙に暇がない。それもJRAの規定により短期免許を取得出来る外国人騎手は自国でそれなりに優秀な実績を残せた人に限られる。有り体に言えば、上手いジョッキーしかやって来ないのだ。