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ダービーはやはり「特別」なのだ。
歴史に残る大逆転はなぜ起きたか。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2019/05/27 11:45

ダービーはやはり「特別」なのだ。歴史に残る大逆転はなぜ起きたか。<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

ロジャーバローズに跨った浜中俊は、ダービー制覇を喜ぶというよりも信じられないという表情をしていた。

単勝9310円はなんと史上2番目。

 ロジャーバローズにとって、これがデビュー6戦目。前走、浜中が実戦で初めて騎乗した京都新聞杯で2着となり、賞金面でどうにか出走にこぎつけた。ストライドが大きく、切れ味よりも、道中の強い推進力で勝負するタイプだ。それを浜中が把握していたことが大きかった。前残りになりやすい高速馬場を味方につけ、栄冠をつかみ取った。

 重賞未勝利馬がダービーを制したのは1996年のフサイチコンコルド以来23年ぶりの快挙。ふた桁人気での勝利は'66年テイトオー以来53年ぶり。単勝9310円は、70年前の'49年タチカゼの5万5430円に次ぐ史上2番目の高配当だった。

 猪熊広次オーナーにとっては、馬主になって17年目でのダービー初勝利。ノーザンファームのGI連勝記録を「7」でストップさせた、生産者の飛野牧場にとっては創業50年目での美酒となった。角居勝彦調教師にとっては2007年ウオッカ以来となるダービー2勝目。とはいえ大本命ながら4着に敗れたサートゥルナーリアも管理しているだけに、笑顔はなかった。

 オーナーは凱旋門賞参戦に前向きな発言をしている。令和元年のダービー馬の今後に注目したい。

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ロジャーバローズ
浜中俊

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