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DeNAの元開幕投手が中継ぎに。
石田健大が語る“やりがい”と”先発”。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2019/05/25 09:00
2年連続開幕投手を務めた昨季は3勝7敗と期待に応えられなかった。新たな役割に順応できるか。
「自分でしっかりと考えられる選手」
法政大学時代の先輩であり、中継ぎで活躍している三嶋一輝は、石田がブルペンにいることを「心強い」という。
「石田は僕のキャッチボールの相手なんですよ。ボールひとつとっても、総合的な能力を考えても石田がブルペンにいてくれて本当、助かっています。長いイニングもいけますしね。あと学生時代からそうなんですけど、自分でしっかりと考えられる選手。打たれても切り替えの上手なタイプなので、しっかりやってくれると思います。とくに初登板したときに、いきなり連続三振を奪っていましたけど、やっぱりすごいなって思いましたよ」
5月1日のヤクルト戦、7回表、1死一塁でマウンドに立った石田は、ひとり目をフォアボールで塁に出すが、つづく青木宣親と山田哲人から3球三振を奪っている。
今季は中継ぎということもあり、左打者との対戦が多く、必然的にストレートとスライダー中心の投球になっている。ボールの質は悪くないものの、高低差のミスにより被弾するケースが少なくないので、そのあたりの修正が今後の課題となってくるだろう。
“先発”へのこだわり。
現状を鑑み、先発で勝ち星を重ねていた好調なときとの差はどこにあるのか。石田に好不調を読み取るバロメーターについて尋ねる。
「やっぱり腕の振りでしょうね。怪我をするとどうしてもそこが落ちてしまうし、状態を戻すためには短いイニングを投げることも必要になってきます。僕としては、腕の振りをしっかりとしたものとする狙いがチームにはあるのかなと思っているんです」
石田にはどうしても譲れない思いがある。問うと、迷うことなく素直にそれを口にしてくれた。
「自分のなかでは、やっぱり“先発”が一番だと思っています。いずれは戻りたい。もちろん中継ぎの経験はプラスになっているし、まずは与えられた仕事をしっかりやることが大切なこともわかっています」
2年連続開幕投手を務め“エース候補”と呼ばれた投手のプライド。誰も踏んでいないまっさらなマウンドに立ち、投げることが石田にとってはあるべき姿なのだろう。