球体とリズムBACK NUMBER
浦和vs.湘南、山根視来の劇的ゴール。
あの時あの位置にCBがいた理由。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/24 17:00
J史上に残る劇的な一戦で、渾身のガッツポーズ。山根視来は一躍ヒーローとなった。
「自分が一番生きるのは終盤に……」
「自分が一番生きるのは、終盤に相手が疲れてきて間延びする時です」と山根は自己分析する。「それはみんなが、相手を休ませることなくプレスをかけ続けてくれるからこそ。おかげで相手は疲労し、そこで僕が後ろからグワッと行けばチャンスになる。でも僕はこれだけ(試合に)出してもらいながら、全然(ゴールを)取ってないですからね」
確かにリーグ戦では、昨季の鹿島戦と先週末の浦和戦のほかに、もう1得点を記録しているだけだ。ただその今季第4節・ベガルタ仙台戦のゴールも、持ち運んで決めたチームの決勝点だった。
つまり、このCBのゴールはすべて湘南の勝利に直結するものだ。しかもDFの得点パターンにありがちな、セットプレーから押し込んだようなものはひとつもない。とても面白い存在だ。
「(浦和戦で)最後にゴールを決めた僕ばかりがフォーカスされがちですけど、後半に俊くん(菊地俊介)が初っ端で決めてくれたのが本当に大きかったです。それにゴールは味方のサポートがあってこそ。たぶん曹さんが言うように、普段、みんなでやっていることがしっかり出ただけなんだと思います」
昨季にクラブ史上初のリーグカップ優勝を遂げた埼玉スタジアムで、ベルマーレがまたひとつ伝説をつくった。
それを締めくくったドリブル好きの守備者は、あらためて最高のチームと仲間たちに感謝している。