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堀江翔太の、怖いことと楽しいこと。
「ラグビーW杯にすべてをかける」 

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byMiho Watanabe

posted2019/05/15 08:00

堀江翔太の、怖いことと楽しいこと。「ラグビーW杯にすべてをかける」<Number Web> photograph by Miho Watanabe

堀江翔太の風貌は変わったが、ラグビー選手としての幹は何も変わらない。頼りになるフッカーが帰ってきた。

使命感が重圧になり、ラグビー熱を失った。

 ラグビー界をけん引していくとの使命感は、堀江を絶えず追いかけてきた。堀江も真正面から受け止めてきた。

 周囲の期待はやがて重圧となり、強靭な肉体をも蝕んでいく。ピッチに立ち続けながら、堀江は自らが壊れていくことを自覚した。

「2016年はホンマに軽い鬱ぐらいな感じになって。所属するパナソニックと日本代表、それにサンウルブズでキャプテンをやって、あのときはキツかったですね。ラグビーが全然楽しくなくて。試合をやっていても、なんでおれスクラム組んでんやろって思いながらゲームをしていることが続いていました。何をしてもしんどいし、全然頭はまわらんし、というのが'16年でした」

 日本代表のヘッドコーチを務めるジェイミー・ジョセフと話し合いを持ち、リーダーの立場から外してもらった。少しずつ自分のプレーに集中できるようになり、心身のコンディションが回復していく。

大学を卒業してから初めての時間。

 昨年の手術もマイナスにはとらえていない。クラブと代表でフル稼働を続けてきた堀江にとって、自分と向き合うことのできる貴重な時間となった。

「大学を卒業してから1年間ずっとシーズンを戦うことが続いてきたので、自分のためのトレーニングはいつも1、2週間しか取れなかった。やりたいことはいっぱいあったんですけど、そこまでの時間がなかった。

 それが、今回の手術後は2カ月間丸々、自分のためにトレーニングできた。それはもう何年ぶりかっていうぐらいで、いや、たぶん大学を卒業してから初めてかもしれない。自分のトレーニングができる時間がいいタイミングできてくれて、いい感じで抜けるところは抜くことができたのかもしれない。足首以外のところ、弱いところも鍛えることができた」

 ラグビーW杯には20カ国が出場し、5カ国ずつ4つのプールに分かれて争う。各プールの上位2カ国がベスト8に名乗りをあげ、ノックアウト方式で頂点を目ざす。

 日本はアイルランド、スコットランド、ロシア、サモアとのプールAを戦う。グループ2位以内を確保し、史上初の準々決勝へ進出するには、最新の世界ランキングで3位のアイルランドか4位のスコットランドのどちらかを、倒さなければならない。

【次ページ】 「15年前に逆戻りするのはホントに怖い」

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