炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープの20歳アドゥワ誠が頼もしい。
先発でも際立つクイックとクセ球。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2019/05/14 11:45
今季初勝利をプロ初完投で飾ったアドゥワ(左)。ヒーローインタビューでもファンを楽しませた。
先発転向が広島のリターンに。
広島は開幕直後こそつまづいたが、ようやく安定した戦いができている。アドゥワが初めて先発で登板した4月23日以降にチームは白星を積み重ね、初勝利の5月12日に開幕戦で勝って以来の貯金生活に入った。アドゥワの台頭が先発陣の窮地を救い、チームに安定感をもたらしているのだ。
開幕直後、大瀬良大地と床田寛樹の両輪に頼りっぱなしだった状況から、復調の気配を見せるクリス・ジョンソンに、アドゥワも加わった。
新戦力の台頭を待っていたのは緒方孝市監督である。開幕からリーグ4連覇のためには「新しい力が必要になる。そのためには多少のリスクがあっても我慢しないといけないときもある」と話していた。昨季のロングリリーフから今季は先発に配置転換。ある意味、それもリスクだったかもしれないが、結果的に大きなリターンを生んだ。
もちろん、この先も順調に成長曲線を描けるとは限らない。先発としてシーズンを積み重ねていくことは初体験であり、他球団も攻略しようと対策を練ってくるだろう。
それでもそんな厳しい戦いをも自分の血肉とするだけの心技体を備えていることを実証してきた。どんな困難が訪れても、変わらずに飄々と立ち向かっていくに違いない。