フランス・フットボール通信BACK NUMBER
結局は、持ってるか持ってないかだ!
ペレと会ったムバッペの強烈な印象。
posted2019/05/10 07:00
text by
パスカル・フェレPascal Ferre
photograph by
Hublot
キング・ペレとキリアン・ムバッペの対談が、ふたりの共通のスポンサーである「ウブロ」のはからいでパリで実現したのは、この4月2日のことだった。話の内容は、その後におこなわれた会見などで断片的に伝えられるのみだが、『フランス・フットボール』誌のためにムバッペは、対談の舞台裏を語ってくれた。彼にとってそれが忘れられない出会いであったのは、言葉の端々からうかがえる。
コメントを読んで筆者(田村)が思い出したのは、数年前に山下泰裕氏と『レキップ』誌で対談したときのテディ・リネールだ。
世界選手権の優勝記録で山下氏を抜き、日本でも“絶対王者”と言われはじめていたリネールが、「自分はあなたに比べればまだまだ小さな子供だから」と何度も繰り返していたのがとても印象深かった。偉大なレジェンド・憧れと対面したときの気恥ずかしさ・面映ゆさがそこには溢れていた。
はじめての対面。ムバッペのペレへの思いは、山下氏に対するリネール以上であるといえるかも知れない。『フランス・フットボール』誌4月9日号で、パスカル・フェレ編集長がムバッペとペレ、ふたりのコメントをレポートする。
監修:田村修一
<ペレに会った、ムバッペの告白>
彼のような人物と会うのはちょっと怖かった。
ペレと会えば誰だって様々な不安に襲われる……1対1で対面するのをビビるのも当然だ。茶目っ気があると聞いていたから、いったいどんな風にいじられるのかとか、僕も少しぐらいはいじっていいのかとか、ずいぶん思い悩んだ。最初にどんな眼差しを向けられてどんな言葉をかけられるのか、けっこうビビッていた。
失望させたくなかったからね。
それに彼は英語が得意じゃないと思っていた。僕のポルトガル語も大したことないからそれも不安だった。ただ、英語はまったく問題ないと聞いてちょっと安心したけど。
ペレが僕に会いたがっていると聞いて、即座に僕も会いたいと答えた。彼に会うためなら世界のどこにでも――ブラジルでも北極でも行くつもりだった。