ひとりFBI ~Football Bureau of Investigation~BACK NUMBER
Jどころかサッカー史に残る最終節。
03年マリノス完全Vは奇跡の連鎖。
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/10 10:00
久保竜彦の終了間際のゴールによる逆転優勝。世界広しと言えどもここまで劇的な結末はそうそうないだろう。
2強時代に終わりを告げた瞬間。
試合終了間際にエメルソンのヘッドを浴びた鹿島がまさかのドロー。雨に濡れたピッチに2度目の歓喜の雄叫びが上がる。横浜の完全優勝が決まった。それは実に7年間にわたって天下を二分してきた鹿島と磐田の「2強時代」に終わりを告げる瞬間でもあった。
歴戦の勇士をそろえた磐田をもってしてもゲーム運びに齟齬をきたす難しさ。大一番に潜む魔物を退けるものとはいったい、何なのか。試合後、中山が声を絞り出した。
「技術や戦術だけでなく、もっともっと精神面を鍛えていかなければ……」
一方、岡田監督はこう言って胸を張った。
「技術や戦術以前の話。決してあきらめず、最後の最後までひたむきに闘い、チームのためにすべての力を出し切る。それを選手たちが実践してくれた」
なぜ、信じがたいドラマが起きるのか。2人の言葉をかみしめれば、そのからくりが見えてくるのかもしれない。技くらべや知恵くらべの手前にあるものが。
■2003年Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第15節第1日■
2003年11月29日/14:02キックオフ
横浜国際総合競技場/入場者数43283人
横浜FM2-1磐田
【得点者】横浜FM:マルキーニョス(50分)、久保(89分)、磐田:グラウ(2分)
【警告】横浜FM:松田(47分)、上野(72分)、磐田:名波(9分)、田中(49分)、鈴木(67分)
【退場】横浜FM:榎本哲也(15分)
【出場メンバー】
<横浜F・マリノス>
GK 21 榎本哲也
DF 22 中澤佑二
DF 3 松田直樹
DF 35 河合竜二
(→79分 MF 23 大橋正博)
MF 7 佐藤由紀彦
(→16分 GK 31 下川健一)
MF 8 遠藤彰弘
(→51分 MF 6 上野良治)
MF 26 那須大亮
MF 5 ドゥトラ
MF 14 奥大介
FW 36 マルキーニョス
FW 9 久保竜彦
監督 岡田武史
<ジュビロ磐田>
GK 12 山本浩正
DF 2 鈴木秀人
DF 5 田中誠
DF 14 山西尊裕
(→89分 FW 9 中山雅史)
MF 4 河村崇大
MF 23 福西崇史
MF 6 服部年宏
MF 15 ジヴコヴィッチ
(→76分 13 MF 川口信男)
MF 7 名波浩
FW 8 グラウ
FW 18 前田遼一
(→72分 FW 26 西野泰正)
監督 柳下正明