オリンピックPRESSBACK NUMBER
伊調馨、前人未到の五輪V5へ。
敗戦にも「こんなもんじゃない」。
posted2019/05/07 18:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Koji Fuse
「いい経験ができた大会だった。これからが本当の闘いだと思う」
中国・西安で行われたレスリングのアジア選手権。大会4日目(4月26日)、女子フリースタイル57kg級準決勝でヨン・ミョンスク(北朝鮮)に4-7で敗北。3位決定戦に回り銅メダルを獲得した伊調馨(ALSOK)は前向きに大会を振り返った。
「復帰を決めてから厳しい闘いになることは自分でもわかっていました。今日の反省を日本に戻ってからしっかり取り組みたい」
大会前、伊調は優勝の大本命に挙げられていた。ある日本の関係者は筆者に「このメンバーで伊調が負けるわけがない」と断言していたほどだ。
しかし、勝負の世界に絶対はない。第1ピリオド開始30秒、ヨンに正面タックルを決められてしまう。その後もタックルを2度決められ1-7と大量リードを許してしまった。第2ピリオドになると伊調は必死に追い上げるが、3点を返すのがやっと。結局、4-7で敗れた。
「頭が真っ白になった」
試合後、伊調は「(ヨンと闘っている最中に)頭が真っ白になった」と打ち明けた。
「失点すると、そうなる。リオデジャネイロオリンピック前のヤリギン国際大会で負けた時もそうなりました」
この時は決勝戦でプレブドルジ(モンゴル)に0-10のテクニカルフォール負けを喫している。その時と重なり合う部分もあったのかと問うと、伊調は「ヤリギンの時の方がひどいですけどね」と自嘲気味に話し始めた。
「失点すると、どうしても自分のレスリングを見失ってしまうというか、どうしよう、どうしようと思ってしまう。今回も修正がうまくいかないうちにやられてしまいました」