球体とリズムBACK NUMBER
W杯直後は波乱が起こりやすい……。
CL4強、決勝の地に降り立つのは?
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/04/30 10:00
エースを欠くトッテナムは、頼みのソン・フンミンも1stレグ出場停止。しかも、相手は波に乗るアヤックスだ。
バルサ有利?のメッシの法則。
バルセロナ(スペイン) vs. リバプール(イングランド)
第1戦:5月2日早朝4時 カンプノウ
第2戦:5月8日早朝4時 アンフィールド
過去10年で3度の優勝を誇るバルセロナと昨季のファイナリストであるリバプール。両者の対戦は、事実上の決勝とも言えよう。
バルサのカギは言うまでもなく、31歳にして凄みを増すリオネル・メッシが握っている。今季のCLとリーガでは、出場した試合で決定的な仕事をしなかった機会が数えるほどしかなく、その影響力は絶大……という表現では足りず、もはやフットボールの神に近い。
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「メッシには本当に驚かされてばかりだよ。彼のフットボールを読む力は、誰にも持ち得ないもの。インテリジェンスの極みだ」と今シーズンから加入して中盤のレギュラーに収まっているアルトゥールが現地紙に語っているように。
彼をサポートするのは元リバプールのルイス・スアレスとフィリペ・コウチーニョだ。前者は今季CLでノーゴール、後者はシーズンを通して高い要求に応えているとは言い難い。けれど、スアレスは常にスペースメイクやハイプレスで貢献し、コウチーニョは準々決勝第2戦で壮観なミドルを沈め、今季2度目の奇跡を信じていたマンチェスター・ユナイテッドの希望を完全に打ち砕いた。
メッシはCLの初タイトル獲得以降、4年以上その栄冠に見放されたことがない。最後に優勝した2015年以来、久しぶりに4強に駒を進めた今季、その法則通りに頂点を極めるだろうか。
強力3トップに加わったラストピース。
彼らの前に立ちはだかるリバプールにも充実の陣容が整っている。今回の敵とは異なり、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネの3トップが4得点ずつを分け合っている。ユルゲン・クロップ監督が標榜する相手に息もつかせぬヘビーメタル・フットボールは、どこからでもゴールの道筋が立つ。
もっとも攻撃陣は昨季からのトレードマークだが、キエフでの決勝で味わった悔しさを晴らすべく改良されたのは、それ以外のポジションだ。中盤では新戦力のファビーニョとナビ・ケイタが存在感を高め、GKアリソン・ベッカーは悲願のためのラストピースと言える。破壊的な攻撃力はそのままに、世界一とも評されるビルヒル・ファンダイクが統率する堅陣──メッシとの対決は最高の楽しみだ──も手にしたレッズは、14年ぶりの欧州制覇を見据えている。
不安があるとすれば、シティとのデッドヒートが続くプレミアリーグとの二足の草鞋か。バルセロナがリーグ優勝にほぼ王手をかけているのに対し、リバプールは1990年以来のリーグタイトル獲得のために、最後まで気の抜けない戦いが続く。
だが、もちろんクロップ監督は「たとえ疲れていたとしても、そんなものは感じない」と完全に否定する。そのエネルギーこそ、栄光の扉を開くカギとなる。
※試合日はすべて日本時間