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タックル職人で、生粋のリーダー。
ラグビーW杯に間に合ったある男。 

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byKyodo News

posted2019/04/24 17:00

タックル職人で、生粋のリーダー。ラグビーW杯に間に合ったある男。<Number Web> photograph by Kyodo News

ハリケーンズB戦でタックルで相手の突進を阻むラブスカフニ(中央)。

平均タックル数はリーグ1位。

 ラブスカフニが所属するクボタのチームスタッフは、その人柄に感心している。

 4月上旬のこと。ウルフパックとして活動していたラブスカフニはニュージーランド遠征から帰国し、約1週間の休養を過ごしている――そう理解していたクボタのチームスタッフは、ラブスカフニが突然グラウンドに現れたので驚いた。

「1週間の休みのはずなんですけど、チーム(クボタ)の練習にひとりで来て、黙々と走ってるんですよね。スタッフのところにもやってきて、みんなとちゃんと会話するんです。休んでほしいので、ヘッドコーチから連絡はしていませんでした。自分でチームのスケジュールを調べているんです」(クボタ・チームスタッフ)

 もちろんプレイヤーとしての信頼度も高い。

 '18年のスーパーラグビーで、初参加のサンウルブズで7試合に出場したラブスカフニは、1試合の平均タックル数がリーグ1位だった。ニュージーランド代表のサム・ケイン、オーストラリア代表のマイケル・フーパー主将も及ばないのだ。

 世界最高峰のタックル職人であることを証明するこのデータを本人に伝えると、蕎麦が大好物という寡黙な職人は「これからも可能な限りタックルをします」と嬉しそうにした。

士気は高かったハリケーンズB。

 66得点を奪った4月20日のハリケーンズB戦でも、終盤はナンバーエイトに位置を下げながら防御人として働き続けた。

 この「ハリケーンズB」の実力だが、先発15人の平均年齢は23歳。そのうち今季のスーパーラグビー経験者は3人だった。

 しかし「ハリケーン・ハンターズ」の名で活動するハリケーンズBは今年無敗でもあった。3月からハリケーンズに留学中で、この日ハリケーンズBの一員として出場したリコーの牧田旦(まきた・あき)は、チームの士気は高かったと明かした。

「チームは負かそうという気持ちでした。ハリケーンズBは今年、他のインターナショナルチームとやっても負けたことがなかったらしいです。負けるつもりもさらさらなく来たんですけど、ジャパンが強かったです」

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