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新球シュートの習得が転機に。
「西武のイチロー」田村の誓い。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2019/04/18 11:30
開幕から一軍で6試合に登板した田村。一軍再昇格が待ち望まれる。
インコースに投げられる投手。
小野一軍ピッチングコーチはこう説明する。
「シュートというのはベースの幅を使えるボールです。今はインコースの厳しい場所に投げられる投手が少ない。でも、インコースの厳しい場所にコントロールできる投手というのは、チームにとっても必要です。1人が投げられれば『あのチームはインコースへくるよ』というイメージを相手チームに植え付けることができますから」
田村のシュートに関しては「使える目途は立ちました」と高評価を下す。
「これから経験を積んで、より投球術を磨いてほしいですね。当ててしまうかもしれないという意識が強すぎて、最近ではシュートを投げる選手が少なくなっています。でも、強力打線を抑えるためには、そういうリスクを背負いながらもインコースに投げられるピッチャーは絶対に必要なんです」(小野コーチ)
田村は語る。
「真っ直ぐの感覚で投げてもきっちり変化しました。それが、いちばん『このボールは使える』と思ったポイントです。開幕してからも、ずっと取り組んできたインコースへのボール、シュートなどを使ってバッターを追い込めているところは自分でも手応えを感じました。
昨年の秋から『みんながやらないことをやって、チーム内で勝ち上がっていこう』と思って取り組んできました。それが評価されているのであれば、僕のこれまでの取り組みが間違いではなかったと思えます」
ベテラン内海から受けた刺激。
今年の春季キャンプでは朝7時45分に宿舎を出発。アーリーワークの時間を自分のコンディショニングに使った。
「ウェートトレーニングではなくて、エクササイズです。投球を重ねるうちに肩が前に出てきていたので、それを後ろに戻すエクササイズをオフの間、ずっとやってきたんです。春季キャンプの間もそれを継続するために、どこかで時間がほしかった。『それをどこかでやろうかな』と考えていたときに、朝にやることを思いつきました」
奇しくも、キャンプ地のトレーニング施設には今年からライオンズに移籍してきた内海哲也も早朝から顔を見せていた。全体練習の前にウェートトレーニングを行うのが内海の日課だった。
「もともと朝しかエクササイズを行う時間がなかったときに、内海さんが朝早く出かけてウェートをしているのを知りました。内海さん、僕からしたらテレビの中の人なんですよ。その内海さんがこれだけ朝早くからやっている。『オレ、寝てる場合じゃないな』って思いました」(田村)