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ユーベが完敗を認めたアヤックス。
「時速1000キロ」でCL4強に進出!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/04/17 13:30
決勝弾を決めた主将DFデリフトはまだ19歳。“CLの王”に先制点を奪われたものの、決定的な仕事をさせなかった。
鉄壁守備陣が見せた隙。
MFエムレ・チャンが開始5分で相手GKへ奇襲をかければ、主将キエリーニの代役を託されたDFルガーニがカウンターでボールをもらおうとするMFツィエクを不格好でも確実に潰す。
先制点は、初戦同様やはりC・ロナウドだった。
28分の右CKでアヤックスDFデリフトのマークを外し、走りこみながらヘッドで直角に叩き込んだ。エースのキャノン砲のような先制ゴールで、ユーベは準決勝へぐっと近づいたはずだった。
だが、イタリア王者自慢の鉄壁の守備が一瞬だけ隙を作った。
MFファンデベークは34分にユーベの最終ラインが犯した乱れを見逃さなかった。MFツィエクが放り込んだボールに反応し、GKとの1対1を冷静に決め、同点。
守備の国の最少失点王者ユベントスがラインコントロールに失敗する場面などちょっと記憶にない。FWは10回に1度成功すれば万々歳だが、DFは1度でもミスれば命取りだ。
自由になったデヨング、逆転弾は19歳の主将。
前半終了間際に右膝を痛めたらしいFWディバラが顔を歪ませて、後半からFWケアンと交代した。
今夜のゲームキャプテンを任されていたFWディバラの役割は、得点することではなくアヤックス中盤の鍵であるMFデヨングをマークし続けることだった。19歳の新星FWケアンに同じ仕事は要求できない。
自由を得たMFデヨングはアヤックスのエンジンに火を入れた。
FWネレスが走り、MFツィエクが繋ぎ、MFデヨングがずらし、MFファンデベークがまた繋いで、FWタディッチが崩して、最後はMFツィエクが打つ。
アヤックスは前半11分で先発DFマズラウィが負傷し、代わって出場したDFシンクフラベンも再交代を余儀なくされるなど逆境に見舞われたが、後半のキックオフから12分間、ボールはつねにアヤックスのプレーヤーたちの足元にあった。
智将アッレグリが求めていた「相手の3倍攻める」というアイデアを完璧に体現していたのは、むしろアヤックスの方だった。52分と57分に、ユーベ守護神シュチェスニが見せた神業セーブがなければ、ゲームはその時点で終わっていただろう。
64分にDFカンセロが投入されたとき、ユーベの選手たちは4バックを維持するのか、3(+2)バックで守りを固めるのか判断すらできない状態だった。アッレグリは3本指を立てて「ア・トレ! トレ!(3バックだ!)」と狂ったように叫んだ。
67分、攻め続けるアヤックスに主将デリフトが待望の逆転弾をもたらした。
右CKに頭で合わせた童顔の主将は、ユベントスのDF2人を押しのけながら地上から2m41cmも跳躍し、一撃を打ちつけた。