独王者、レアル、ユーベ、そして次は？

　一方で、若手もベテランも輪になったアヤックスの面々は、肩を組み身体を弾ませながら、欧州ベスト4の快挙に飛び跳ねた。

　ユベントスの選手たちは今も憔悴しきった体と頭で考えているだろう。

　なぜ、アヤックスはあんなに走れるんだ。

　だが、試合のデータを見て、1人あたり平均走行距離が10.5km前後でそう変わりないことを知ればさらに衝撃を受けるだろう。敗れた失望より、きっと完全に翻弄された衝撃の方が大きい。

“時速1000キロのアヤックス”は、同組だったドイツ王者バイエルンを追い詰め、大会3連覇王者レアル・マドリーに続き、ユベントスまで葬ってしまった。風車とチューリップの国でこれから長く語り草になるような、素晴らしいゲームだった。

　異次元のプレースピードをイタリア最高の智将も認めるしかない。

「失点した後、うちに怖さが生まれた。そしてボールを追わされた。強くてうまい選手が揃っている。このアヤックスは強い」

　我々は何かとんでもないチームを目撃している。