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磐田vs.清水のダービーは大熱戦も
静岡サッカー甦生への道は、まだ先。
posted2019/04/15 16:30
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph by
J.LEAGUE
サックスブルーに染まったホームのジュビロ磐田が、オレンジ色の清水エスパルスを迎えたJリーグ第7節、静岡ダービー。
リーグ戦では通算49回目となったサッカーどころ自慢の一戦だが、今年はやや様相が違った。
前節、湘南ベルマーレ戦でようやく今季初勝利をあげた13位磐田、一方の清水は前節のFC東京戦の逆転負けを喫し、開幕戦からの未勝利記録をクラブワーストタイの6まで伸ばし、序盤戦とはいえ最下位と低迷。2ステージ制だった1999年には日本一を決めるチャンピオンシップを争った両クラブだが、日本サッカーを牽引してきたかつての勢いはもう消えかけている。
それでも、会場のエコパスタジアムに集まった観衆は3万1000人を超え、地元メディアも大挙して押し寄せる状況は、リーグ戦の静岡ダービーが始まった1994年からまったく変わっていない。
そして、サックスブルーとオレンジが二分したスタンドの光景と、ファンやサポーターが発する歓声と激しいブーイングなど、スタンドの熱気と盛り上がりも決して衰えてはいなかった。
苦しんだ鄭大世の先制ゴール。
試合はともに序盤からビッグチャンスを演出しながらも、得点につながらない展開が続いた。
先制したのは、崖っぷちに立たされている清水だった。前半36分、磐田DFがクリアミスしたボールをゴール前でGKカミンスキーと競り合ったFW鄭大世がわずかに早く頭で捉えた。ちょっとしたミスを逃さず今季2点目を決めた35歳のベテランは、拳を何度も振り上げ、歓喜するイレブンの輪に吸収された。
鄭大世は2016年、サッカー人生で初めてJ2でプレー。37試合で26得点と脅威のゴールラッシュで1年でのJ1復帰に大きく貢献した。しかし昨年は、途中加入したFWドウグラスの活躍もあり出番が激減。今季はその大砲が体調不良で開幕前から戦列を離れたため、ここ3試合連続で先発出場するなど、出番が急増していた。第4節ヴィッセル神戸戦では途中出場から同点弾を決め、再び存在感を高めている。
「モチベーションは高い。何とか自分のゴールで」と勝利を誓って臨んだ大一番での今季初白星。
「自分が決めて勝てたことや、去年の苦しみを考えたら涙が出てきた。まだ序盤だが、今日の1勝は間違いなく今後につながる」と、巻き返しに自信を見せた。