沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
サートゥルナーリアに距離の壁なし。
ダービー、凱旋門賞へ夢は広がった。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/04/15 12:15
無敗で皐月賞を制したサートゥルナーリアと鞍上のルメール。ダービー、そして凱旋門賞へ――期待感は高まる一方だ。
ルメールの指示を素直に聞き入れ。
サートゥルナーリアは、道中、中団の外目で折り合いをつけた。
1000m通過は59秒1。前の馬にも後ろの馬にもチャンスのある平均ペースだ。やや行きたがっている馬もいたが、サートゥルナーリアはルメールの指示を素直に受け入れ、ゴーサインが出るのを待ちながらエネルギーを溜めている。
3、4コーナー中間で、すぐ前を走っていた川田将雅のヴェロックスが外からマクるように進出し、先行馬をかわしにかかった。それを追いかけるようにサートゥルナーリアも外からポジションを上げた。
ヴェロックスが先頭で直線に入った。サートゥルナーリアはその外に馬体を併せた。
ラスト200mを切った。サートゥルナーリアとヴェロックスが馬場の真ん中で叩き合い、内からダノンキングリーが追い上げてくる。勝負はこれら3頭に絞られた。
凄まじい叩き合いの末に先着。
前走まで、サートゥルナーリアは楽に他馬を突き放してきたが、さすがにここは相手も強い。サートゥルナーリアとヴェロックスは互いに譲らず、激しく叩き合う。そのときだった。ルメールの左ステッキを受けたサートゥルナーリアが内に刺さり、ヴェロックスを弾き飛ばすような格好になった。
「馬がスタンドを見た。物見をして、少し内に行った」
そう話したルメールはすぐさま右にステッキを持ち替え、追いつづけた。
ヴェロックスも闘志を失わず食らいつき、内のダノンキングリーも伸びている。
3頭が凄まじい叩き合いを繰りひろげたままゴールを通過した。
先頭でフィニッシュしたのはサートゥルナーリアだった。ヴェロックスは頭差の2着、ハナ差の3着はダノンキングリー。昨年の2歳王者アドマイヤマーズは、そこから2馬身遅れた4着だった。