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メジャーは「サイン盗み」も世界一?
歴史は50年以上、ハイテク化も進行。

posted2019/04/10 10:30

 
メジャーは「サイン盗み」も世界一?歴史は50年以上、ハイテク化も進行。<Number Web> photograph by Getty Images

2017年8月18日のレッドソックスvs.ヤンキース。走者二塁でレッドソックスのデバースがホームランを放った場面に対して「サイン盗み」の疑惑が浮上した。

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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 春の選抜高校野球で「サイン盗み」騒動があったという報道を目にした。

 繰り返し行われる行為に日本の野球も相変わらず、と思ったと同時に昨今のメジャーリーグの惨状をあらためて憂えた。

 選手各々が持つパワーとスピード、能力の高さはメジャーリーグがナンバーワンであることは誰もが認めるところだが、今のメジャーリーグは「サイン盗み」の技術も世界一になってしまった。嘆かわしい事実だ。

目が開けば直球、閉じればカーブ。

 ご存知の方も多いと思うが、メジャーリーグの「サイン盗み」は歴史が古い。

 第2次大戦後、中堅の観客席から捕手のサインを望遠鏡で盗み、バッターに伝達する手法が定着した。その後、スコアボードに潜んだ職員がサインを盗み、何らかのシグナルを送り打者に伝える形が生まれた。

 有名な話は1970年代のインディアンス。チームロゴである先住民の目が開けば直球、閉じればカーブと言った具合である。

 筆者がメジャーリーグを取材し始めたのは、1995年から。その当時は「サイン盗み」は、ほとんどなかったと記憶している。

 疑わしき行為があれば、投手はすぐさま故意死球で相手に報復する。長く日本の野球を取材してきた者にとって、「サイン盗み」のない野球は、選手個々の“プライド”を感じさせた。

 メジャーリーグはレベルの高さだけではない。崇高な精神が宿る野球がここにはある、と思ったものだった。

【次ページ】 捕手の二の腕に乱数表ボックス。

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ボストン・レッドソックス
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