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センバツの用具商戦は夏より熱い!
バットもグラブも勢力図に変化が?
posted2019/04/09 07:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Kyodo News
野球用具メーカーから見ると、拡販チャンスは「夏」より「春」の方が大きい。
というのも、夏は甲子園出場が決まってから大会まで10日前後しかないのに比べ、春は前年秋に甲子園出場が当確となってから本大会まで、チームによっては半年近い猶予期間がある。その間、時間をかけてチームに用具を売り込めるからだ。
それだけに「春はチームと用具の関係性が見えやすい」と語るのは、本ページではすっかり御馴染みとなった野球専門店・ベースマン立川店の星徹弥さんだ。ありとあらゆる野球用具に精通した「野球用具ソムリエ」にして、業界で有名なトップセーラー。今年から店長に就任したため「カリスマ店員」改め「カリスマ店長」となった。
バットは2強の覇権が崩れそう?
まずは、毎大会恒例となっている星さんのホームランバット雑感から。この春は、19本のホームランが飛び交った。
「ミズノのVコング(5本)、SSKのスカイビート(1本)の2強が崩れかけてきましたね。目立ったのはゼットのビッグショット(4本)と、アシックスのスピードアクセル(4本)。
Vコンは柔らかな打感、スカイビートは硬質で高い音が特徴です。ビックショットはスカイビート並の高い音が出る。高い音が出る方が選手は気持ちがいいみたいです。スピードアクセルの4本はいずれも東邦の選手で、うち3本までが石川(昂弥)選手。東邦は全員、アシックスでしたから。
これまでアシックスは細くて振り抜きやすいバットが多かったのですが、このバットは芯の部分が太い。それによって金属素材とのバランスがマッチしたようです」
グラブでじわりじわりと目立ち始めたのが、本場アメリカの老舗ブランド・ウイルソンだ。同メーカーのグラブは星さんもイチ押しで、ベースマン立川店だけで年間、約300個販売しているという。