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ポルトCL制覇の立役者デコが語る、
モウリーニョの狂気と今季の可能性。

posted2019/04/06 17:00

 
ポルトCL制覇の立役者デコが語る、モウリーニョの狂気と今季の可能性。<Number Web> photograph by Getty Images

ポルトのCL優勝によって、ジョゼ・モウリーニョは青年監督として一気に名を馳せた。

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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「今はポルトに住み、選手の代理人をしている。主にブラジル人選手を欧州クラブへ紹介し、ブラジルと欧州各国を飛び回る毎日だ。(生まれ故郷の)ブラジルではなくポルトに住む理由? FCポルトは僕の心のクラブで、ここは第二の故郷。日常的にポルトの試合を見て、クラブ関係者とも交流し、大好きなフットボールに関わる仕事をする。毎日がとても充実しているよ」

 電話の向こうの声は、弾んでいた。当初、ブラジル国内でのインタビューを申し込んだが、当分、帰国しないとリオ在住の弟から聞かされ、電話インタビューに切り替えた。デコに聞きたいテーマは、チャンピオンズリーグを制したかつてのポルトと、まもなく準々決勝を戦う今季のポルトだ。

「今季のチームは、欧州CLの大舞台で試合を重ねる度に成長している。準々決勝はとても厳しい試合になるだろうが、大胆かつ細心の注意を払って戦えば、きっと勝てる」

モウリーニョの言葉には根拠がある。

 サンパウロ郊外で生まれ育った八の字眉毛の素朴な少年は、中小クラブを経て17歳で名門コリンチャンスの下部組織へ。しかし、トップチームでの出場は2試合にとどまり、チャンスを求めてポルトガルへ渡る。

 ここでも中小クラブを渡り歩いたが、1999年、22歳でポルト入り。ようやく才能が開花し、繊細なテクニックと創造性で攻撃の中心となると「マエストロ」と呼ばれた。'03年にはルイス・フェリペ・スコラーリに請われてポルトガル国籍を取得し、同代表入りも果たす。そして2003-04シーズン、大方の予想を覆して欧州の頂点に立った。

「あのときのチームは、2001-02シーズン途中に監督に就任したモウリーニョが2年半を費やし、丹精込めて作り上げた傑作だった。

 当時の僕たちは、国内リーグでも低迷し、自信を喪失していた。しかし、クラブへやってきた日、彼はいきなり『来季の国内リーグで優勝するのは俺たちだ』と言い放って皆を驚かせたんだ。ただし、彼の言葉は決してはったりではなく、常に根拠がある。チームの弱点を補うことができる選手を自ら連れてきて、合理的で科学的でありながら選手の好奇心を呼び覚ます練習を課してチームを一変させた。

 そして、翌シーズン、国内リーグを独走し、UEFAカップを制覇。これだけでも大変な成功だったが、彼の勝利への渇望は際限がなかった。2002-03のチームを土台にしてさらに多くの要素を付け加え、次のシーズン、誰も予想しなかった快挙を成し遂げたんだ」

【次ページ】 勝利への並外れた執念と情熱。

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