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ロッテ藤原恭大「1つでも先の塁を」。
開幕スタメンで刻んだ記録と記憶。
 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKyodo News

posted2019/04/03 11:30

ロッテ藤原恭大「1つでも先の塁を」。開幕スタメンで刻んだ記録と記憶。<Number Web> photograph by Kyodo News

1番センターで開幕スタメンを飾った藤原恭大。7回に自慢の脚力を生かして内野安打を記録。

打ったのは楽天・青山のスライダー。

 この試合、藤原は第1打席からストレートに的を絞っていた。4打席目に内野安打を放った球種はスライダーだったが、相手投手である青山のそれは、楽天の新人投手や捕手が「あんな変化球、初めて見た」と驚嘆するほどのキレ味がある。現に青山は、藤原に打たれたスライダーを「悪いボールではなかった」と振り返っている。

「試合が終わった後に映像で見直したんですけど、そこまで悪いボールじゃなかったんですよね。狙ったところよりも少し真ん中よりにいっちゃったかな? ってくらいで。簡単に2ストライクに追い込まれて、彼も必死にバットを振ってきた結果が、ああなったんじゃないですかね」

 ストレート狙いながら一線級の変化球にも対応できる。それは、藤原の卓越した野球センスだけで片付けられるものではない。

1球目からフルスイング。

 重要なポイントがある。それは、バットを振り切れることだ。

 単純明快ではあるが、トップレベルの野球を知れば知るほど、これを実践するのは難しい。試合前に整理していたデータと違う球種がくる。想像していた以上に球威があり、変化球も曲がる。そうすると、動作が鈍ってしまう瞬間は多々あるものだ。だが藤原は、それでもバットを振り切る。

 30日の第2戦で藤原と3度対峙した美馬学は、注目ルーキーのそのスタイルに少しだけ圧倒された自分がいたと、胸中を漏らす。

「ファーストストライクからフルスイングなんて、なかなかできないですよ。そこは本当にすごいなって。ピッチャーからすれば、それって怖さがあるから。高卒ルーキーですけど開幕スタメンだし、しかも1番を任されるくらいですからね。いい選手だなって思ったし、油断は全くなかったです」

 第1打席は内角ストレートで見逃し三振と、藤原に「手が出なかった」と脱帽させたが、第2打席と第3打席は詰まらせながらも打球を外野まで運ばれた。結果として軍配は美馬に上ったものの、「1打席目以外はギリギリ。一歩、コースを間違えたらやられていた」と、紙一重の勝負だったことを認めている。

【次ページ】 「レギュラーを獲れる選手に」

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