オリンピックへの道BACK NUMBER
複合W杯で驚異の8年連続3位以内。
渡部暁斗、モチベーションの源。
posted2019/04/01 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
ウインタースポーツのシーズンも終わりを告げようとしている。
スキー競技では、ノルディックスキー・ジャンプの小林陵侑がワールドカップ総合優勝を果たすなど大活躍で脚光を浴びたが、小林以外にも着目すべき活躍をした選手がいる。
その1人が、ノルディック・コンバインド(複合)の渡部暁斗である。
ソチ、平昌の両五輪で銀メダルを獲得している渡部は、今シーズンのワールドカップでも総合2位の結果を残した。
活躍を支える探究心と向上心。
その中でも特にすごいのが、2011-2012シーズンに総合2位となったのを皮切りに、これで8シーズン連続で、ワールドカップ総合3位以内に入ったことだ。これだけ長期間、世界のトップを争う位置にい続けた価値は大きい。しかもライバルとして競う海外勢に変動があるにもかかわらず、だ。
ワールドカップ総合順位について、オリンピックや世界選手権より価値があると語る選手は少なくない。シーズンを通しての安定した結果であり、たまたま1つの大会で調子がよかったことで残せた成績ではないからだ。
長年の活躍を支えてきたのは、かつて、代表選手の中で「もっとも質問してくる選手」と言われるほど強い探究心と向上心である。
強くなるために、トレイルランニング、ボルダリング、水面のボードに立ってのバランス感覚の習得など、さまざまなトレーニングに取り組み、試行錯誤してきたのも好例だ。その根底には、世界一になりたいという強い気持ちがある。
ただそれと同時に、葛藤も抱えている。