JリーグPRESSBACK NUMBER
清水FW高橋大悟には野心がある。
屋久島初のJ1選手の夢は東京五輪。
posted2019/03/26 10:30
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph by
J.LEAGUE
2018年1月、身長163センチの小さな選手がサッカーどころ静岡にやってきた。
ボールを持った瞬間に鋭いドリブルで先輩選手を置き去りにすると、勢いそのまま左足でシュートを放つ。練習場のスタンドから様子を見守る地元ファンから、拍手と歓声が上がっていた。
清水エスパルスのFW高橋大悟だ。
当時、指揮官として就任してまもないヨンソン監督も、「元気な新人選手が良い動きを見せてくれている」と、連日の絶賛。静岡の目の肥えたエスパルスサポーターたちも、「独特のリズムとゴール前での鋭い嗅覚を持っている」、「トップでもワイドのポジションでも卒なくこなす」、「誰と組んでもうまく合わせてくれそうだ」と、期待の若手選手の虜になった。
世代別代表入りし、名前は全国区。
プロ1年目の昨シーズンは、ゴールこそなかったがルヴァンカップに5試合出場。途中出場が中心だったため、プレー時間は長くなかったが、短い時間の中で見せた鋭いドリブルから相手の大柄DFたちを抜き去るシーンには、非凡なものを感じさせた。今季もリーグ戦出場こそないが、カップ戦でその存在感を際立たせている。
高橋の出身は鹿児島県屋久島。人口1万3000人ほどの小さな島を出て、中学からの6年間は同県内の強豪・神村学園でプレーした。鹿児島城西など地元のライバル校に押され、全国区で暴れまわる機会は少なかったが、高橋の名は全国にとどろいていた。U-18、U-19で日本代表入りも経験している。
その世代の代表からはしばらく遠ざかっているが、高橋には日の丸を付けて出場したい大舞台がある。
来年に迫っている東京五輪だ。
「現実的には難しい立ち位置ですけど」と可能性が低いことを強調しながらも、「東京で開催が決まったときから、目指さなければいけないと思ったし、高校の監督からも『そこを目指せ』と繰り返し言われた」と話す。