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秋山翔吾が3番、では1番は誰に?
西武の命運を左右する金子侑司。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/03/21 11:30
オープン戦では全試合で出塁し、打率も3割越えをキープ。昨季、不振に苦しんだ金子の奮起に期待したい。
金子に寄り添った赤田コーチ。
金子の悩みに気づいたのが昨秋、二軍から一軍の打撃コーチに就任した赤田将吾コーチだった。赤田コーチは現役時代、金子と同じスイッチヒッターとして活躍し、2004、'08年にライオンズが日本一を成し遂げた際のメンバーだ。
赤田コーチはシーズン途中、金子が二軍に降格した際から、金子の悩みに向き合ってきた。
「左打席のときにバットが体から離れて、遠回りしていました。だから振っている間にバットが波打つ。体の近くをバットが通るようになれば、左打席での結果も変わってくると思いました」(赤田コーチ)
当時、「スイングの最中、バットがどこにあるのかわからない」とまで迷っていた金子を見た赤田コーチは、金子の右の股関節に着目した。
「右の股関節が固いので、スイングのときに力が伝わらず、腰が逃げ(引け)てしまうんです。腰が逃げるので、ボールを引っ張ろうとしても、バットが遠くを通って、こすったような打球がレフト方向へ飛ぶ。三塁方向へのボテボテのゴロが多かったのも、その打ち方のせいだと感じました」
ボテボテのゴロのおかげで内野安打になるラッキーなヒットはあったが、それでは相手投手は脅威を感じない。金子自身も気づいてはいたが「なぜそうなるのか」を第三者が指摘することで、取り組むべき課題が一層確かになった。
春季キャンプで見せた「変化」。
金子は語る。
「今はとにかく上半身から下半身への力の伝え方を意識してスイングしています。春のキャンプに入ってからも阿部さん(真宏・一軍打撃コーチ)、赤田さんにバッティングを見てもらって、上半身と下半身の連動を意識して打席に立ってきました。まだまだ練習をしながらですけど、これからもその意識は持ち続けたいと思っています」
金子のオフの間の取り組みを、赤田コーチも見抜いていた。
「春季キャンプの初日に一目見てすぐわかりましたよ。意識も体も全く違っていました。オフの間もしっかり意識して練習を積んできたんだなって」
キャンプのシート打撃でも鋭い当たりを見せ、その「変化」を周囲に印象付けた。