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今もなお語り継がれる「与田の18球」。
監督初戦は因縁深きベイスターズ。

posted2019/03/14 11:15

 
今もなお語り継がれる「与田の18球」。監督初戦は因縁深きベイスターズ。<Number Web> photograph by Kyodo News

現役時代にバッテリーを組んだ中村コーチと練習を見守る中日・与田監督。選手としては新人時代の31セーブが、最も数字を残したシーズン。

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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 最寄り駅はJRなら「尾頭橋」、名鉄だとかつては「中日球場前」、「ナゴヤ球場前」と呼ばれた駅名は、現在は「山王」となっている。そこから徒歩圏内にあるのがナゴヤ球場。正面には飲食店が軒を連ねている。

 昭和の遺風漂う「喫茶マサ」。かつてのエース・山本昌にちなんだのかと思いきや、そうではないらしい。名古屋文化であるモーニングはバターがたっぷり染みたトーストがうまい。

「お好み焼きの岬」は、焼きそばや肉玉がなんとワンコインで食べられる。デラックスでも550円。店主の正木房子さんは「中日スタヂアム」と呼ばれていたころから地域で育った生き字引で、往年の名選手の笑える逸話やタバコの火が引火してスタンドが焼け落ちた火災事故の話などを聞かせてくれる。

「ラーメン専科 竜」は中日の選手も大好きな味だ。根尾昂の入団が決まると「NEO竜ラーメン」を販売。スター候補生に便乗したと言うなかれ。骨付きスペアリブが鎮座する具だくさんの逸品が、税込み1000円ではそうは儲かるまい。店主の吉田和雄さんも「まさかここまで売れるとは」と限定10食をうたいながら、可能な限り対応するお人好しだ。

 こうした地域の飲食店が、根っからのドラゴンズファンの観戦前の楽しみであると同時に、ハードな練習で腹を空かせた選手の胃袋を満たしてきたのだ。

ナゴヤ球場での一軍ゲームは23年ぶり。

 ナゴヤ球場は1948年に完成。'97年のナゴヤドーム完成後は、スタンドの大部分を取り壊し、空いたスペースに屋内練習場や合宿所を建設し、二軍の本拠地として使用されている。

 3月7日、そのナゴヤ球場でDeNAとのオープン戦が行われた。名古屋ウィメンズマラソン(10日)の発着点となるナゴヤドームが、準備作業のため使用できないことと、近隣の球場との折り合いがつかなかったことから実現した。一軍の試合が行われるのは'96年以来。施設の都合上、3504人しか入場することはできなかったが、当日は開始予定の2時間前には1000人を超すファンが長蛇の列をつくり、開門を30分早めたほどだった。

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