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西岡剛が決断したBC栃木入団。
天才が過ごした眠れぬ夜。
posted2019/03/14 07:00
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Naoya Sanuki
プロ野球のキャンプが始まる3日前、西岡剛選手からこんな連絡をもらいました。
「目標が決まりました。そこへ向けて、これからの人生を歩むと決断したので、楽しみにしていて下さい」
東京へ向かう新幹線の車内からくれたメッセージでした。球界がキャンプインに向けて準備をしている中、西岡選手もトレーニングのために単身、東京へ向かっていたのです。
そして3月12日、西岡選手がBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスに入団することが発表されました。
若くして千葉ロッテマリーンズの遊撃のレギュラーとなった西岡選手は、プロ入り当初から類まれな才能を持っているように見えました。実際に首位打者、最多安打、盗塁王と日本で数々のタイトルを獲得し、メジャーリーグにも挑戦。
しかし、華やかな活躍を続ける一方で、眠れない時期や体調が芳しくない時期もあったといいます。
メジャー時代、西岡が口にした葛藤。
メジャー時代、キャンプ地のフロリダでインタビューを終えた後、西岡選手がキャンプ中に借りていた自宅に招待してくれました。
「大さん、俺のインタビューを撮ったら何か予定ありますか? うちにご飯食べに来てくださいよ。野球の話しましょ!」
嬉しい誘いでした。その日は一晩中、西岡選手は野球への熱い想いを語ってくれました。
同時に、メジャーでの「打球への怖さ」を語ってくれたことも印象に残っています。
メジャーのスタジアムの芝は滑るために打球の速度が増し、知らぬ間に身体が怖さを感じてグラブの出し方がわからなくなっている、と教えてくれました。
深い時間までそんな話をした翌朝、西岡選手は朝5時に起き、全体練習が始まる3時間ほど前から「打球への怖さ」を解消するために一人、黙々と練習を行っていました。その姿は、本当に苦しそうでした。