格闘技PRESSBACK NUMBER
ミルコ・クロコップが完全引退。
超ストイックな闘争本能の記憶。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKyodo News
posted2019/03/13 16:30
2003年3月、K-1の舞台でボブ・サップと戦った時のミルコ・クロコップ。サップは右眼窩内を骨折することとなった。
「脳卒中」による不意の引退表明。
先日、そんなミルコが自身のSNSを通じて引退を表明した。
2月25日の練習中に体調を崩して入院。医者から脳卒中という診断を受け、頭に衝撃を受ける行為を禁止されたためだ。2~3カ月前から首に違和感があったというのだから前兆はあったのだろう。
ラストマッチは2月16日、アメリカでの新天地ベラトールで行われたロイ・ネルソン戦で、8年ごしのリベンジを果たした矢先の引退声明だった。
「これが本当に最後です」
現在44歳のミルコは宣言する。
「何度か復帰しましたが、これが本当に最後です」
その言葉通り、ミルコは過去に何度か引退を宣言し、そのたびに撤回するということを繰り返していた。
最近では2015年11月にUFCで引退を表明したが、その後RIZINで復帰している。そこで今回も「本当に引退するのか?」と疑問視する向きもあるが、頭のダメージを理由にしての幕引きなだけに、筆者は今度こそは本当と考えている。
そういえばPRIDEでしのぎを削ったエメリヤーエンコ・ヒョードルも何度か引退を示唆しながら現役を続けたが、今年1月に組まれたライアン・ベイダーとのベラトール世界ヘビー級GP決勝戦で秒殺KO負け。かつて60億分の1と言われるほど世界最強の名をほしいままにした男はミルコより2歳年下ながら、このまま引退してもおかしくないムードを漂わせている。
ミルコやヒョードルとともに一時代を築き上げたアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラは2015年9月に一足早く現役引退を表明。その後はUFCブラジルのアスリート・リレーションズアンバサダー(選手発掘大使)に就任し精力的に動き回っている。