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大竹耕太郎は鷹の開幕ローテ当確?
ぶっつけ本番の投げ急ぎで大変身!
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2019/03/13 10:30
大竹耕太郎は先月末のロッテとの練習試合に先発して3回を無失点に抑えるなど、順調な仕上がりを見せている。
「焦って投げていた」頃がヒント。
最初の紅白戦登板の前日、悩みに悩んだ大竹は周囲に好調時と不調時の比較動画を見せて意見を聞いて回った。
「その中で『去年の方が焦って投げていたよね』との言葉を頂いたんです。なるほど、と。去年までの僕は、足を上げてから“溜める”という意識よりもそこでぐっと力を入れていた。投げに行く時はいい意味で力が抜けていました。それが結果的に“横の時間”を長くしたし、フォームの中にメリハリを生んだんです」
このままマウンドに上がっても好結果は望めない。ならば――。
大竹はぶっつけ本番で投げ方を変えた。わざと、投げ急いだ。
「結果的に制球も良くなり、球の力も出た。正直バクチでした。でも、マウンドに上がってあれこれ考え過ぎるのはもう嫌だった。早稲田(大学)の頃、そんな思いを何度もしたし、昨年のクライマックスシリーズもそうでした。もうマウンドで悩むのは嫌だった」
遠回りをして増えた引き出し。
かくして復調を遂げた大竹は、今は自信を持って「先発ローテを守り抜いて2桁勝利。それが今季の目標です」と笑顔で話す。だが、決して慢心しているわけではない。
「今のやり方の中で、また壁に当たることはあると思うんです。でも、やってきた練習法がまた自分を助けてくれると思います。やり過ぎは良くないことは分かったので、いい塩梅を見つければいいわけですから」
遠回りをした。だけど、そのおかげで“引き出し”は格段に増えた。その数が多い選手が、結果的にプロ野球界では長く生き残っていくのだ。
プロ2年目を戦う前にしてその財産を得た大竹という投手の未来が、本当に楽しみになった。