炎の一筆入魂BACK NUMBER
長野久義、小園海斗という新風。
カープにマンネリという文字はない。
posted2019/03/09 11:30
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
2月26日、広島は2月1日からの春季キャンプを打ち上げた。例年と同じように大きな円陣で一本締め。今年の広島キャンプの充実度は昨年のような監督賞がなかったことが表していたように感じる。
ちょうど1年前の'18年春季キャンプ最終日には、監督就任4年目で初めてアドゥワ誠ら5選手に「監督賞」を贈るサプライズがあった。当時のチームは一軍キャンプの新顔は新加入のレオネル・カンポスくらいで、2連覇した戦力がほとんど残っていた。無風のオフでチーム内の代謝が少なく、マンネリを生みかねないチーム状況。若手の台頭を促して活性化させるしかなった。自家発電で力を生み出すために、監督自ら動いたといえる。
だが、今春は新しい風がチーム内を吹き乱れていた。
巨人から加入の長野久義が球界の盟主のスター選手として地方球団に新風を吹かせ、ドラフト1位の小園海斗は3連覇中のチームにフレッシュな風を注ぎ込んだ。新外国人2人は、すでにいた外国人5選手の危機感をあおった。
監督が動く必要もないほど、2年連続MVP丸佳浩の抜けた穴が感じられないほどの新しい風が広島には吹いていた。
実際、新戦力が効果的な役割を果たした。
一軍帯同を勝ち取ったルーキー小園。
高卒新人の小園は当初の1次キャンプ限定を大きく上回る一軍帯同を自ら勝ち取った。周囲と見劣りしない動きで2次キャンプ帯同を勝ち取ると、実戦では自慢の守備力で美守を連発。課題と目されていた打撃でも対応力の高さと強心臓ぶりを発揮して、結果を残した。
3月3日の西武とのオープン戦では日本ハム大谷翔平(現エンゼルス)以来の高卒新人のオープン戦本塁打を記録。オープン戦が進む3月もまだ一軍にいるのは、期待値だけではなく、その能力が認められた証しだろう。
3連覇しているチームにとっても、溌剌とした18歳の姿が初心に立ち返らせる鑑となったように感じる。