ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
久保裕也、原口元気、浅野拓磨……。
ブンデス残留争いを戦う日本人選手。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/03/08 10:30
未だ無得点と苦しいシーズンを送る久保裕也。残り10試合、降格圏脱出の突破口となれるか。
原口がアシストを記録するも……。
今季のシュツットガルトには日本人選手がおらず、一方のハノーファーには原口元気、浅野拓磨が在籍しているため、今回は当然ハノーファー贔屓です。
しかし、大一番にも関わらずハノーファーは開始4分で失点。しかも、自陣ゴール前をガラ空きにして相手エースのマリオ・ゴメスにゴールを叩き込まれる大失態で、正真正銘出鼻を挫かれた格好に……。
最終的にハノーファーは原口がアシストした1点に留まって1-5と大敗を喫し、17位のハノーファーはシュツットガルトと勝ち点5差を付けられてしまいました。
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ハノーファーの選手たちは自信を失っているように感じます。試合開始早々に失点した瞬間にシュンとなり、ボールキープもままならなくなるのはここ数戦と同じ。原口などは「そういうときこそ、自分のような経験ある選手が引っ張らないと」と言い、実際に彼は後半から攻撃的ポジションへ入り、あえて相手ゴール前で勝負する姿勢を見せていました。
とはいえ幾ら一個人が奮闘してもチーム全体が意欲を高めなければ事態は好転しません。浅野も特長である走力を生かせない役回りを与えられていて、選手の個性とチーム戦術も上手く融合していない様子です。
自信を取り戻したいハノーファー。
ハノーファーはウィンターブレイク後にアンドレ・ブライテンライター監督を解任し、元ドイツ代表MFのトーマス・ドルを新監督として招聘しましたが、新体制後の5試合で勝利したのは第21節のニュルンベルク戦のみ。
その他は0-3の完敗が3試合に今回の大敗と、大量失点が続いており、新監督の存在がカンフル剤となっていません。そんなドル監督はシュツットガルト戦後のインタビューで「臆病者のサッカー」という言葉で自軍の選手たちを糾弾し、翌日のオフを返上して急遽練習を行ないましたが、その檄が選手たちに届いたのかどうか。次節レバークーゼン戦で明らかになりそうです。
一方、シュツットガルトはハノーファーを撃破して上機嫌。こちらも、ミヒャエル・レシュケSDが解任され、後任に元ドイツ代表MFのトーマス・ヒツルスペルガー氏を据える緊急人事を行なうなど不穏さ満載ですが、直接対決での大勝でホッと一息。スタジアムに近接する飲み屋からはサポーターたちの高らかな歌が聞こえ、戦果にご満悦の様子でした。
ハノーファーの大敗に気が重くなりながらUバーンの駅を目指していたら、遠くで電車が発車する様子が見えた次の瞬間、僕らの目の前で駅の玄関扉が閉まってしまいました。地下鉄の臨時列車は試合後1時間で終了した模様……。もう、踏んだり蹴ったり。
仕方がないので同業者と一緒にタクシーに乗り、名物のピルスナービール『シュツットガルター・ホフブロイ』も飲まずに大人しくフランクフルトへの帰路に着きました。