“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ビジャとそっくりな今季初ゴール。
新潟・矢野貴章のイメージが熟成中。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/03/07 17:30
マルチロールのイメージが強いが矢野貴章の本職といえばFWだ。まだまだ衰える気配はない。
ビジャは僕より年上だから。
ベテランという名に甘えることなく、他の選手を自分に置き換えながら試合へのイメージを膨らませる。何気ない行動だがそれを日常化できているからこそ、大事な時に実を結ぶのだ。
「それに……」
ゴールシーンを振り返った後、矢野はこう口を開いた。
「ビジャは僕より年上の37歳じゃないですか。もちろんそれまでやってきたレベルが違いますが、ああやって積み重ねてきたことをあっさりとやれちゃうんだなと思いましたね」
その言葉の続きには「俺もそうならないといけない」という心の声が聞こえてきたような気がした。
“新潟の貴章”としてサポーターの寵愛を受ける男は、今、ベテランとして、1人のプロサッカー選手として自らを表現している。
J1昇格に向けて、間違いなく矢野の活躍は新潟にとって必要不可欠となる。そして渡邉新、新井、戸嶋、渡邊泰基といった若手が頭角を現しているからこそ、良き見本として学ぶべきプロの指標となる。
千葉戦のプレーは、彼なりの決意表明だった。