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ユーベが直面したCL敗退の危機。
ロナウドの9季連続4強もピンチ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2019/03/07 11:30

ユーベが直面したCL敗退の危機。ロナウドの9季連続4強もピンチ。<Number Web> photograph by Getty Images

23年ぶりの欧州制覇を期待されて、今シーズンから加入したC・ロナウドだが、A・マドリーとの1stレグでは相手の守備に封じられた。

再点火した“ユーべ魂”。

 その意味で、3日の26節ナポリ戦は、ユベントスに欠けていた荒々しい闘争心を呼び起こすゲームになった。

 ピアニッチの2枚を含むイエローカード9枚が飛び交い、ナポリGKメレトは一発退場。ほぼ後半まるごと10人対10人で戦った敵地での難ゲームを、ユーベは2-1で制した。

 パスはつながらず、プレスも粗かった。だが、ユーベ魂とでも呼ぶべきものに再び火が点った手応えを選手たちがつかんだことは明らかだった。

 1戦目の78分にDFヒメネスが先制点を決めたとき、敵将シメオネは、股を豪快に開くと自らの睾丸を強調したポーズで歓喜を爆発させた。“俺たちのでっけえタマを見やがれ=俺たちゃ強えええ!”という意味のジェスチャーを見せつけられたユーベの選手たちは、さぞ屈辱に感じたにちがいない。

屈辱を晴らしたいミスターCLと叩き上げ監督。

 誰より苦々しく思っているのは、過去6年の大会得点王であり、ここ8シーズンもの間セミファイナルに届かなかったことはない“ミスターCL”であるC・ロナウドだろう。

 CLで不発なら一体何のために1億ユーロも払ったのか、という批判は当然彼にも伝わっている。彼は敗戦の後ほど闘志を燃やすはずだろうから、2戦目での奮起に期待しないわけにはいかない。

 今度はシメオネとその子分たちへ意趣返しする番だ。

 僕はアッレグリを応援せずにはいられない。

 彼が“叩き上げ”の人だからだ。

 われわれは山のてっぺんばかりを見ていて忘れがちになるけれど、近年CLを制したジダンやルイス・エンリケ、グアルディオラといった、現役時代にクラブでも代表レベルでも活躍した彼らのようなキャリアを持つ指導者は例外中の例外といっていい。A・マドリーのシメオネもまたワールドクラスの名選手だった。

 だが、アッレグリは掃いて捨てるほどいるセリエBレベルの無名選手だった。

 コーチキャリアの出発点は名もない田舎町の4部クラブ。今大会のベスト16に残った監督たちでいえば、アッレグリは現役時代2部でのプレーが最高だったトゥヘル(PSG)のような苦労人に近い。

 CLやW杯に出たことのない世界中の大多数の指導者にとってより身近であり、彼らの道しるべとなるのは、アッレグリだろうと思う。

【次ページ】 追い込まれたユベントスは恐い。

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