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日立台にネルシーニョが帰ってきた。
名将はピッチの内も外も掌握する。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/06 08:00
苦しみながらも開幕2連勝と好スタートを切った柏レイソル。名将・ネルシーニョのもと、1年でのJ1返り咲きを狙う。
特別なクラブへの帰還。
68歳でふたたび日立台のベンチに立ったネルシーニョのたたずまいは、柏に次々とタイトルをもたらした第1次政権のころと変わっていない。
腕を組んで戦況を見つめ、「危ない」と見るや鳴りやまない大歓声の中でも大声で選手たちに注意を喚起しようとする。
試合後の記者会見も、なにひとつ変わっていない。勝っても負けても引き分けても、冷静に試合を分析して振り返る様子は、まるで将棋の感想戦のよう。私は第1次政権のころ、この淡々とした記者会見の言葉からサッカーの要諦を学んだ。
日立台で4年ぶりに勝った感想をたずねると、ネルシーニョはいつものように淡々と語った。
「このクラブには特別な思いがあるし、こういう形でまた私自身を受け入れてくれたクラブに感謝の気持ちでいっぱいです。戻ってこられて本当にうれしいし、モチベーションもとても高いです。サポーターのみなさんの存在は大きく、彼らと少しでも多くの喜びを分かち合いたいと思っています」
名将の帰還とともに、日立台がふたたび熱気を取り戻そうとしている。