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ダルビッシュは根っからの大阪人。
大緊張の初登板後でも笑いは取る。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byGetty Images

posted2019/03/03 09:00

ダルビッシュは根っからの大阪人。大緊張の初登板後でも笑いは取る。<Number Web> photograph by Getty Images

ダルビッシュ有はカブスファンの期待に応える覚悟を決めている。スタートは順調だ。

ダルビッシュが最近よく使う「Happy」。

 あれから、およそ半年が過ぎた。

「朝、起きた時から、今日、投げるんだな、大丈夫かなとか、自分とせめぎ合うじゃないけど、そういう感覚も登板日ならではだったし、リハビリ中そういうのはなかったし。こういうことを味わえるのは幸せだなと思った」

 幸せ=Happy。最近、ダルビッシュがよく使う言葉だ。

「マウンドに上がった時、マウンドから見える景色、ファンの人がいたりとかっていうのが。またここに自分が戻ってきたことが信じられなかったっていう感じです」

 方々で既報の通り、内容は1回1/3を投げて無安打ながら、4四球と荒れて2回途中で降板した。救援投手が打たれて2失点(自責点1)と数字としては良くはない。だが、オープン戦の1試合目の結果をあれこれ評価するのはポイントがズレている。

 サウスベンドの緊急降板を目撃している人々にとって、ダルビッシュが2回のマウンドに上がれるかどうか、がすべてだった。

「去年、イニング間に時間が開いちゃうっていうのが一番きつかったので、(今回も)怖さもちょっとあったし、動かした時に若干張りもあったので、『うわぁ、大丈夫かな』と思ったけど、裏でキャッチボールとかし始めたらなくなった。

 マウンド行って、投げ始めてもそういうのをまったく感じなかったし、球速も落ちてなかった。それは本当に良かったと思う。明日になってみないと、思い切ったことは言えないけど、去年のようなことはないです」

健康であることがわかれば、それでいい。

 サウスベンドの緊急降板からおよそ半年後の実戦登板。ダルビッシュが投げるバックスピンの利いた4シーム・ファストボールは、2回になっても時速96マイル(約154.5キロ)を何度も計測した。

 ドンピシャのタイミングで振ってきたバッターが、どんづまりのフライを打ったり、ファールになったり。本人が「カーブもスライダーもストライクが入らなかった」と話す通り、変化球の制球に課題を残したが、シーズン絶望の怪我をしてから半年後のオープン戦の結果なんて、問われるべきポイントではない。

 極論を言えば、ダルビッシュが健康でありさえすれば、それでいい。

 痛みなく投げ続けることができるなら、それで充分なのだ。

【次ページ】 間近で聞いたファンの絶叫。

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ダルビッシュ有
シカゴ・カブス

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