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ダルビッシュは根っからの大阪人。
大緊張の初登板後でも笑いは取る。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2019/03/03 09:00
ダルビッシュ有はカブスファンの期待に応える覚悟を決めている。スタートは順調だ。
間近で聞いたファンの絶叫。
カブス・ファンも、それはよく分かっている。
ダルビッシュが予定の球数(35球。結果は36球)に達して降板した時、カブスにとっての春の本拠地であるスローン・パークの観客は拍手を送った。
「ね……ブーイング来るわ、と思ったけど、そういうのも聞こえなかったし、(結果は)大変な試合だったけど、『帰ってきたね』という風に受け取りました」
試合前、ウォーミングアップの投球練習のために左翼後方のブルペンを覗いた時、間近で聞いたファンの絶叫を思い出す(あまりに近すぎて耳が「キーン」と鳴った)。
「This is the year for you, Darvish! (ダルビッシュ、今年は君の年だっ!)」
ダルビッシュはこの春、オープン戦で5試合ないし、6試合に登板する。投げる度に球数を伸ばし、イニング数も最終的には5イニング前後まで伸びていく。結果を求めるのは、その頃になってからで充分だ。
そして、このままダルビッシュの春が順調に過ぎていけば、我々はきっと、思い出すことになる。
Yu Darvishが、メジャーリーグの元奪三振王なのだという事実を。
Yu Darvishが、サイ・ヤング賞投票で2位になったという事実を。
そして、きっと、さらに思い出すだろう。
ダルビッシュ有が、どんな可能性を秘めた投手なのかということを――。