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<天才ジャンパーの決意>高梨沙羅「逆境だからワクワクします」/伊藤有希「手に入れたものは離れない」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byphotographs by Takao Fujita

posted2018/02/10 17:00

<天才ジャンパーの決意>高梨沙羅「逆境だからワクワクします」/伊藤有希「手に入れたものは離れない」<Number Web> photograph by photographs by Takao Fujita
悔し涙を流したソチ五輪から4年。 平昌五輪で金メダルを目指す彼女たちは、己と対峙しながら、努力を積み重ねてきた。 月日を経てさらなる進化を遂げた2人が、2度目となる大舞台への思いを語った。

「今思えば、あっという間でしたね」

 高梨沙羅は言う。

「この4年間、ずっとやるせない思い、悔しい思いをばねに練習してきました」

 4年前のソチ五輪で味わった思いは、今なお忘れられない。

 ワールドカップ総合優勝など華々しい活躍もあって、周囲から優勝候補として大きな期待と注目が集まった。だが、4位にとどまった。

 はたから見れば、その結果をもたらしたのは「不運」だった。上位に入った選手の中でただ一人、2本ともジャンプでは不利となる追い風にあたった。「ウインドファクター」の導入により、ポイントが加減点されて補正されはするが、有利な風に吹かれた選手との差はそれで埋められないほどのハンディとなる。しかも向かい風の中で飛び出したあとで追い風に見舞われるという、ジャンパーにとって最も悪い風に襲われた。表彰台に上がれなかった高梨は、試合後、涙が止まらなかった。

 以来、平昌五輪での雪辱を期し、歩んできた。

「自分の中にある理想のジャンプに近づける作業を続けてきた4年間です。(理想のジャンプとは)ロスの一切ないジャンプです。この小さな身体では、ミスをしないで飛ばなければ、飛距離に影響してしまいます。ミス1つ犯すことで、その先にはつながっていきませんから」

 ミスがあれば、海外の選手との体格の違いから助走の速度で差をつけられ、飛距離にも影響する。助走のフォーム、踏み切り、空中姿勢、あらゆる点を見直しては改善に努め、理想を求めてきた。

 努力の積み重ねは徐々に実を結んでいった。2014-'15シーズンこそワールドカップ総合2位にとどまったが、'15-'16シーズンは17戦14勝と圧倒的な強さを見せて総合優勝を果たし、'16-'17シーズンは連覇を成し遂げたのである。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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