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池江璃花子へ1000超のメッセージ。
選手とファンから「待ってるよ」。
posted2019/02/18 11:15
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Takaomi Matsubara
2月16日と17日、千葉県国際水泳場で競泳のコナミオープンが行われた。
今夏の世界選手権代表選考がかかる4月の日本選手権へ向けて、現段階での調整の具合や強化の成否を確認する大会だ。そうした意味合いを持つ大会だけに、有力とされる選手ほぼ全員が参加しての開催となった――。
1年前の同大会のMVPを獲得した池江璃花子を除いて。
同大会は選手個々がテーマを持って泳ぎを確かめる場であり、実際、それぞれが懸命の泳ぎを見せた。その中で悔しさをにじませる選手もいれば、合宿明けでのタイムに納得する選手もいた。
同時に、池江の不在もまた、大会の空気を覆っていた。
池江が白血病であることを公表したのは2月12日のこと。それから数日、選手たちは自分の中で何とか受け止めようとしていた。
「命の方が大切」「待ってるよ」
「びっくりしました」
開会前日のこと。リオデジャネイロ五輪400m個人メドレー銅メダリストであり'13、'15年世界選手権覇者の瀬戸大也は、この話を聞いたときの思いについて言葉1つ1つを真摯に選びながら、このように話した。
「治してオリンピックっていう声もたくさんあると思いますが、命の方が大切です。早く元気になって、またあのかわいい笑顔を見られるようにと自分たちは祈るだけです。自分たちにできるのはいい記録を出すこと。璃花子ちゃん、たくさんの人を元気づけられるようなレースができたら」
今大会、400m個人メドレー、200mバタフライを制し、大橋悠依とともにMVPを獲得した。
ロンドン五輪で3つのメダルを獲得するなど、長年第一線で活躍する鈴木聡美はこう話している。
「衝撃を受けました。ツイッターでもありましたように、『待ってるよ』のひとことに尽きます」