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4連覇&世界記録はあくまでステップ。
東京に向け、瀬戸大也の挑戦は続く。
posted2018/12/26 16:30
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph by
AFLO
2年に一度、短水路(25mプール)で行われる世界水泳選手権(25m)。今年は12月11日から、中国・杭州で第14回大会が開催された。
第11回~第13回までの3大会、400m個人メドレーで世界短水路3連覇を果たしていた瀬戸大也(ANA)は、まず初日の200mバタフライで「出るとは思っていませんでした」と自身も驚く1分48秒24の短水路世界新記録を樹立。
勢いに乗った瀬戸は、男子400m個人メドレーでも3分56秒43で優勝。日本人初となる4連覇を達成した。この日、日本から駆けつけていた家族に目標としていた400m個人メドレーでの世界記録樹立の瞬間は見せられなかったものの、「4連覇もなかなか見せられないことだと思うので、胸を張って金メダルを見せたいと思います」と笑顔を見せた。
「俺は何をやっているんだろう」
始まりは6年前。2012年12月に行われたトルコ・イスタンブールでの第11回大会だった。
ロンドン五輪の代表選考会を兼ねた同年4月の日本選手権前、当時高校生だった瀬戸はインフルエンザを発症。調子を取り戻すことができず、400m個人メドレーで3位となって代表入りを逃す。
同時に、同級生のライバルである萩野公介(ブリヂストン)が同種目を制し、初の五輪代表、そしてロンドン五輪本番でマイケル・フェルプス(アメリカ)の追撃をかわして銅メダルを獲得する。
「俺は何をやっているんだろう」
目標としていた五輪代表権を逃し、どこか練習に身が入らない日々を送っていた瀬戸は、萩野の活躍を見て一念発起。メダリストとなった萩野との直接対決となった9月の岐阜国体で優勝したことを皮切りに、いつもの元気を取り戻していく。
そして同年12月にイスタンブールで行われた、第11回大会の400m個人メドレーで、世界の並みいる強敵を倒して世界大会初優勝。短水路での大会とはいえ、ライバルよりも先に、瀬戸は世界一に輝いたのである。