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父の涙を見て騎手になった男の物語。
丸山元気、2018年に続き絶好調。 

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2019/01/18 16:30

父の涙を見て騎手になった男の物語。丸山元気、2018年に続き絶好調。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

フェアリーSで今年初勝利が重賞勝利となった。丸山元気28歳、ここから上向きの風に乗りたい。

馬だけで生きていかなければいけない世界。

 しかし、2年になったある日、丸山騎手に転機が訪れた。ある日の走路試験で初めて1位になると、教官に「このまま続ければうまくなれる」と言われた。

「この言葉を機に、一所懸命に頑張るようになりました。面白いと思うようになったんです」

 トレセン実習では師匠となる根本康広調教師の下に配属された。そこで元ダービー騎手でもある師匠に言われた言葉が、丸山騎手を更に奮起させた。

「馬だけで生きていかなければいけない世界。命を懸けて乗りなさい」

 そう言われたと語る。

「そこからはそれまで以上に1頭1頭、真剣に気を引き締めて乗らなくてはいけないと考えるようになりました」

調教師に言われた「焦る必要はない」。

 こうして2009年に騎手デビューを果たすと、そのデビュー戦で驚愕した。

「模擬レースとはスピードが全く違いました。『え?!』『あれ?!』って思っているうちにレースが終わってしまった感じでした」

 その後もなかなか勝てなかった。それでも新人だから仕方ないと思っていたが、同期が次々と初勝利を挙げていくと「正直、焦る気持ちが出てきました」。

 そんな気持ちを見透かすように、根本調教師に言われた。

「『焦る必要はない』と言っていただきました」

 その言葉で気持ちが楽になると7月11日に初勝利を挙げた。更に夏の北海道開催で勝ち鞍を重ね美浦に戻ると、9月の新潟開催でも1着でゴールする事が出来た。

「それが初めて根本厩舎での勝利でした。この頃からやっと、少しだけど自信を持てるようになりました」

 積極的に乗れるようになると、更に勝ち鞍が増え、1年目が終わった時には8勝を挙げる事が出来た。

【次ページ】 自分の「出来過ぎ」を把握していた。

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