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父の涙を見て騎手になった男の物語。
丸山元気、2018年に続き絶好調。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/01/18 16:30
フェアリーSで今年初勝利が重賞勝利となった。丸山元気28歳、ここから上向きの風に乗りたい。
自分の「出来過ぎ」を把握していた。
しかし、周囲を驚かしたのは続く2年目の事だった。
1月の中山で2010年の初勝利。2月が終わった時点では4勝だったが、3月以降、一気に勝ち星を増産した。
3月だけで10勝を挙げると5月には15勝。7月、11月もそれぞれ10勝し、1年が終わるとなんと92勝。全国リーディングでも7位になる大活躍をみせた。
3年目の2011年は東日本大震災による開催の中止もあったが、4月の皐月賞ではカフナに騎乗して自身初のGI騎乗(14着)を果たすと、5月8日にはセイクリッドバレーを駆って新潟大賞典(GIII)を優勝。重賞初勝利を飾ったのを始め、この年も72勝を記録してみせた。
丸山騎手は当時を次のように述懐する。
「減量があった事もあり、出来過ぎでした。自分でも実力以上に勝たせていただいている事を分かっていました」
4年目の2012年は33勝、5年目が46勝。しかしその後3年間は30勝台で終わると2017年は29勝に終わってしまった。
しかし2年目、3年目が「出来過ぎ」と考えていた丸山騎手はこの成績に腐る事はなかった。実際、2013年にはクリスマスに騎乗して函館2歳S(GIII)、2016年にはダンツプリウスでニュージーランドT(GII)と、重賞を勝利しており、競馬の内容まで悪くなったわけでは決してなかったのだ。
後輩の存在が丸山を大人にした。
また、自身の立場も大きく変わった。
弟弟子に野中悠太郎騎手、更に女性騎手の藤田菜七子騎手も根本厩舎の所属となり、兄弟子としての自覚も目覚めた。
そんな事もあり、2018年には気持ちを新たに競馬に向き合う事を誓った。
「毎月5勝、年間60勝を目標に騎乗する事にしました」
結果、最終開催日となった12月28日、ジュピターズライトでの勝ち星が、目標とした60個目の1着となった。11月にはスティッフェリオによる福島記念(GIII)勝利もマーク。重賞制覇も果たした。