濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
メイウェザー狂想曲は何を残した?
那須川天心TKO劇の衝撃と“謎”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2019/01/07 17:00
“ザ・マネー”フロイド・メイウェザーに真っ向勝負を挑んだ“神童”那須川天心。しかし向き合うと凄まじい圧力を感じたという。
“本当は凄い那須川天心”を見せつけろ!
大会はRIZIN史上最多、2万9105人の観衆を集め、地上波放送は生中継の時間帯もあった。メイウェザーvs.那須川が瞬間視聴率で民放1位になる時間もあったそうだ。一般層、それにボクシングファンと、かつてない注目の中で那須川は闘い、倒された。公式戦績には黒星はつかない。しかし「心には一生、残りますからね」と那須川。
メイウェザー戦で、那須川は知名度のステージを上げたに違いない。ただその知名度の中には“無謀にもメイウェザーに挑んでぶっ倒された哀れな軽量級”といったイメージも含まれてしまうのだろう。
これからはより広い世間に“本当は凄い那須川天心”を見せつけなくてはいけない。RIZINはそのための場所だ。もちろんその前に充分、ダメージを抜いてもらいたい。あわてたり無理をしなくてもいいのだ。格闘技ファンなら、現役ムエタイ王者をバックキック一撃でKOした瞬間の興奮を記憶している者なら、那須川天心を嗤ったり見限ったりは絶対にしない。