スポーツ百珍BACK NUMBER
スポンサーのはずが今や大分サポ。
トリニータと浅田飴の幸せな関係。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/01/02 08:00
浅田飴の商品を手にしながら指示を送る片野坂知宏監督。大分トリニータJ1復帰の立役者だ。
昇格後の会見に思い出し泣き。
こんな風に社を挙げて応援していく中で、トリニータは運命の最終節を迎えた。モンテディオ山形戦、3人は大分サポーター約80人とともに都内で行われた観戦会に参加。「とにかくハラハラでした」(堀内社長)という緊迫の90分間は1-1のドローで終わったものの、J1昇格をつかみとった。
歓喜に沸く中、特に印象深かったのは片野坂監督の会見だったという。
「試合が終わって片野坂監督のインタビューがあったんですが、監督の顔を見ていたら号泣していましたね。本当に良かったなぁという思いが込み上げてしまって」(玉木さん)
「私もあれは、思い返しても泣きそうになりますね」(中の人)
「なんて表現すればいいんでしょうかね……」(堀内社長)
3人の表情を見て、驚いた。
片野坂監督の会見を思い出して、本気で眼に熱いものを溜めているのだ。
「とても他人じゃないような」
「すみません、この話をするとどうしても……」
J1昇格を記念した取材だというのに、まさかのしんみりムード。多少バツが悪そうにしている筆者を気遣ってか、堀内社長がこう続けた。
「本当に身近に感じるんですよね。全然知らない人間だったはずなのに。大分で試合を観戦した時、私達は取材の様子を遠くで見ていたんですよ。そしたら監督が私のことを見つけて、取材後にもわざわざ『どうもどうも』って来ていただいて。そんなことがあると、すごい身近に感じてしまいますよね。とても他人じゃないような感じです」