フランス・フットボール通信BACK NUMBER
欧州サッカー界の異端児ナインゴラン。
「喫煙、タトゥーをなぜ隠すのか?」
text by
バレンティン・パウルッツィValentin Pauluzzi
photograph bySebastien Leban/L'Equipe
posted2018/12/28 10:00
ナインゴランの背中には、母親の誕生日と命日のタトゥーがある。カトリック教徒でもある。
「17歳で僕はサッカー以外のすべてを棄てた」
――サッカーはどんな風にしてあなたの人生に入ってきましたか?
「4歳のころから公園でボールを蹴っていた。ボールと一緒に生まれてきたと当時から言われていた。そこから先は少し運も必要だった。
然るべきタイミングでステップを登ること。目の前のチャンスを確実にモノにすること……。
ただ、運に恵まれただけというわけではない。常に集中し、献身してきた結果でもあるからだ。
17歳で僕はサッカー以外のすべてを棄てた。(サッカーで)金を得る機会を得たら、家族を助けるために躊躇なくそこに飛び込むだろう」
――苦境を脱したいという意志が、あなたがここまでのキャリアを築いた唯一の理由ですか?
「イタリアのピアツェンツァに行った。得たのは当時のサラリーの最低額だったが、僕にとっては大金だった。月にわずか1000ユーロの金が、家族の生活を変えたんだ。
イタリア行きは、家族に救いの手をさしのべるためだった」
「とても大きな責任を背負っているんだ」
――つまりあなたの未来の問題だけではなかったと……。
「その通りで、僕はここまでに得たものに決して満足していないし常にそれ以上を求めている。うちは大家族で年上の異母兄弟が4人いる。
双子の妹(同じくプロサッカー選手のリアナ・ナインゴラン)もいる。
彼らすべてが幸せに暮らせるように僕は努力してきた。とても大きな責任を背負っているんだ。
数年前に亡くなった母親のリジをよく思い出すよ。彼女は僕の人生で最も重要な存在だった。何も持っていなかったけど、すべてを犠牲にして僕に様々なものを与えようとしたからね」