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梁勇基が葛藤する仙台愛と出場機会。
中村憲剛の一言にも心を動かされ。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/12/28 08:00
仙台のバンディエラ、梁勇基。彼がどんな決断をしても、誰もそれを責めることはできないはずだ。
中村憲剛「結果を出せばいいんだって」
4月14日の川崎フロンターレ戦後、J2からはい上がってきた同じ“ワンクラブマン”として、同じゲームメーカーとして尊敬の念を抱く中村憲剛(38歳)からもらった助言も心に響いた。
「もがけばいいんだよ。ゴールを決めて、アシストすれば、使わざるを得ないんだから。結果を出せばいいんだって」
当たり前といえば、当たり前。ただ、リーグ2連覇を果たしたチームでいまだ主軸として活躍する中村の口から出る言葉は特別だった。
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「それは、そうやな」
素直に頷き、結果を求め続けた。
「お前、まだサッカーできるやろ」
7月18日、横浜F・マリノス戦(●2-8)で得意のCKから初アシストを記録。10月20日、サガン鳥栖戦(●2-3)では相手GKとDFの間に滑り込ませるピンポイントのFKでゴールをお膳立てした。
しかしいずれの試合もチームは敗れ、大きなインパクトを残せていない。'18年は試合出場が486分間となったが、ノーゴール、2アシスト。チーム目標のトップ5にも遠く、反省の弁が口をつく。
「勝負弱いなと思う。勝たないといけないところで勝てなかった。上にいくチームは、そこで確実に勝ち点を重ねている」
4月28日のコンサドーレ札幌戦でJ1・J2通算500試合出場を達成しても、本人の心には物足りなさばかりが残る。1年間、100%の力でトレーニングを続けて、自分と向き合ってきた結果、答えがはっきり出た。
「練習でも“お前、まだサッカーできるやろ”、試合に出たときも“もっとやれるやろ”っていう自分の声が聞こえた。そう思えるシーズンやった」